ふたりとも、ヨーロッパで大きく知られ始めてからまだ5年ほどという新鋭だ。高まる評価の理由が納得できるとともに、これからさらに大きな名前になることを予感させる充実の出来栄え。初お目見えをぜひ聴いておいたほうがいい。
イタリアのオペラ指揮者パオロ・アリヴァベーニ率いるオーケストラも好演。ミミがこときれる最後、一瞬の総休止のあとの悲劇的な総奏で幕が下りると客席からすすり泣きも。『ラ・ボエーム』のいつもの光景だが、実際、結末がわかっているのに何度観てもじわっと来るのは、ストーリーはもちろんだけれど、きっと音楽の力だ。名作!
劇場のエントランスにはツリーやリースも飾られていて、クリスマスの雰囲気も盛り上がる。ミュージカル『RENT』の下敷きにもなった永遠のラヴ・ストーリーはクリスマス・イヴから始まるお話。
かねてから、ぜひ毎年12月に上演してくれればいいのにと切望していたのだけれど、やっとクリスマスに近い季節に観ることができた。オペラ通はもちろん、初めてオペラを観るという方にもぜひおすすめしたい作品。音楽史上屈指の極上の音楽とともに、ひと足早いロマンティックなクリスマスを!
新国立劇場の『ラ・ボエーム』は11月30日(水)まで。
取材・文:宮本 明