![新国立劇場オペラ「シモン・ボッカネグラ」](https://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexpub%252Ffeed%252FPia%252F2023%252FPia_202311160000%252FPia_202311160000_292c174d9d64e21ed5fe_1.jpg,small=600,quality=80,type=jpg)
撮影:堀田力丸提供:新国立劇場
11月15日(水)初日の新国立劇場のヴェルディ《シモン・ボッカネグラ》(新制作)。開幕直前、ゲネプロを取材した。
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その音楽の素晴らしさを多くの識者たちが特筆するのは伊達ではない。オーケストラの短い導入部。穏やかで慈しみ深い音の海がいきなり心を摑む。全編を濃厚に彩る管弦楽は大野和士指揮の東京フィル。
低声歌手たちが活躍する作品だ。題名役シモンのロベルト・フロンターリ(バリトン)は貫禄。
派手なアリアはないが、迫真の声の演技で、愛と平和に生きるがゆえの英雄の孤独を描き出す。政敵フィエスコのリッカルド・ザネッラート(バス)、悪役パオロのシモーネ・アルベルギーニ(バス・バリトン)。個性の異なる低音の魅力が満開で、なんとも渋いかっこよさ。
主役級唯一の女声はイリーナ・ルング(ソプラノ)。新国立劇場でも《椿姫》や《ルチア》を演じているが、今回は華やかなレッジェーロより、リリコの豊かでこまやかな表情が、シモンの娘アメーリアの優しく強い心の表現にフィットしていた。第1幕で父シモンと再会する二重唱のドラマは圧巻。