平岳大が語る。「父を真似ているとは、言われたくない」
平岳大撮影:源 賀津己ヘアメイク:林摩規子スタイリスト:菊池志真
フランスの劇作家ジャン・ラシーヌがギリシャ神話から着想して創った戯曲『フェードル』。1677年に初演され、「人間精神を扱った最高傑作」と評されている。骨太の古典悲劇だが、ストーリーはわかりやすい。不倫、嫉妬、冤罪と、今にも通じるドロドロ感満載で、生々しい女の業をとことん描く。
今回、平岳大が演じるのは、フェードルの義理の息子イッポリット。愛する女性アリシーがいるのに、義理の母のフェードルに恋心を抱かれてしまい、拒絶したことで冤罪の汚名を着せられる。
「脚本の印象では純粋でまっすぐな男。若い男という設定でしょうが、42歳の僕がどう演じるのか。
アリシー(門脇麦)に愛を告白するシーンでは、まだドキドキできるか心配です。フェードルを演じる大竹(しのぶ)さんを無下にするのも度胸が試されますね(笑)」
平は役者を始めた頃から、フェードルはやってみたい作品だったという。
「念願でしたが、まさかこの年齢でイッポリットとは、想像もしませんでした。本や朗読劇、映画では触れてきましたが、改めて脚本を読むと、手強い作品です。とにかく台詞が長いし、ここまで長台詞で言い合いするのも初めて。