色気のある部分や、強さ、忠義の心など、いろいろな要素を楽しんでいただけるよう作っていきたいと思います」。
『三人連獅子』は、日本舞踊の楳茂都流の家元を継いだ愛之助にとって思い入れのある演目だ。「先代の家元が亡くなってから、先代がたくさん作っていた歌舞伎舞踊が上演される機会が少なくなって、知っていただく機会をできるだけ作りたいと思っていたので、思いが叶いました」。通常の父と子の『連獅子』とは違い、父・母・子が登場し、「親子の情愛がわかりやすく描かれている」とアピール。ぜひ目撃してみたい。
そして、夜の部の『南総里見八犬伝』は、通し狂言として最初から最後までを一気に観ることのできるいい機会。「普段はあまり上演しない場面もありますから、みんなで見つめ直しながら、新たな八犬伝ができれば」。周りには、中村萬太郎、中村壱太郎、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村福之助など、浅草歌舞伎でもお馴染みの次代を担う花形役者が揃う。
「みんながのびのびと楽しみながら自分の役を膨らませていくことで、お客さんにも芝居の楽しさが伝わるはず」と愛之助。座頭としてのその熱が、活気あふれる舞台を作ることだろう。
公演は5月3日(水・祝)から27日(土)まで。チケット発売中。
取材・文:大内弓子