水谷八也×千葉哲也×中村倫也が紡ぐ膨大な“怒り”の言葉が映し出す現代
千葉は「最近、先を見据え、“ビジョンを持って生きる”ということが増えているように感じるけど、大事なのは“いま”自分がいるところ、自分を見つめ直すことなんじゃないか? そう考えるとこの作品はわかる。“自分を見つめる”というところから出発している」と語り、水谷も千葉の言葉にうなずきつつ、ジミーは過去や未来じゃなく、流れゆく時間の「現在」に常に立ち続けようとした純な奴なんだと思う、と語る。
そのジミーを演じる中村は、膨大なセリフ――言葉の限りを尽くした“怒り”に「戯曲を読みながら、なんでずっと喋ってんだ? 黙れ!って思いました(笑)」と半ばあきれつつ、「僕自身、自分という生き物がわからないということが、役者をやるモチベーションになってる。この人はずっと言葉を紡いでるけど、その裏には『何がしたいのか?』『何を変化させたいのか?』という衝動が腐るほどある。言葉をぶつけて、返ってくる何かで自分を知ろうとしてるんじゃないかと思います」と読み解く。時代を超えて支持されながらも、決して「わかりやすい」とは言えない本作だが、千葉は「最近、わかりやすいもの、理解されやすいものが増えすぎてる。せっかくお金を払って見に来ていただくのだから『せめてわかりやすく』ではなく、『見たことのないものを作ろう!』としたい」