念願の熊林弘高の演出で、自らとリンクする家族の物語に挑む
家族ってうっとうしい存在かもしれないけど、自分も大人になって無意識のうちに親に似てくるとか、母と娘の関係がリアルで、私とかなりリンクしていると感じました。アメリカの話ですが、核となるのが家族の物語。人生を歩む中で自分を探す、どこにでも何か共通点が見つかるような家族の話だと思います」。
緻密さに定評のある熊林演出。稽古場にはその日稽古をするシーンの役者以外は入れないと言う。「稽古場では色々なことを考えるので、邪魔が入らないのは非常に心地いいですね。そういう繊細さを持った演出家で、役者としてはすごくありがたいし、楽しいです」。また今回、舞台上にはセットがほとんどない。
「何もない状態の舞台で演技させていただくのは久しぶりです。役者の肉体表現に頼るしかなくて過酷ですが、挑戦になるので」。そんな無の空間で「演劇界のレジェンドみたいな人たちと」作り上げていく、濃密な家族の物語。「とてもコンテンポラリーなスタイルで、おしゃれな演劇になっていると思います。新しいものをちょっと観てみようかなという感覚で、足を運んでいただければ」。舞台や映画で多数の受賞を誇る寺島。出演作品を選ぶ基準は?「台本を読んで、これっていう直観…。