リハーサルでは、次第に狂気にのみこまれていく青年の苦悩を鬼気迫る演技でみせたボッレ。その傍らには、報われない愛に苦しむヴィヴェット役の上野が常に寄り添う。
「プティ先生に習ったことは、とても重大なことでした」と上野。ボッレとは「初めて踊ったプティ作品が『シャブリエ・ダンス』、と共通点が。2年前のモスクワでのガラで初共演が叶い、それがプティの『アルルの女』の抜粋であったことも運命では、と思う。“悲しむ人”を表現するのはとても難しいことだけれど、悲しみも人生の中の美しいこと──そういう表現を、したいと思っています」。
当日はイリ・キリアン振付『小さな死』のリハーサルも公開。これも、今回が東京バレエ団初演だ。
スタジオではプリンシパルの川島麻実子、柄本弾はじめ6組のカップルたちが、キリアンならではの複雑な振付、その独特の世界に真摯に取り組む様子が見られた。
「キリアンの振付は天才的」とボッレ。「今回の公演では、プティとともにイリ・キリアン、モーリス・ベジャールの作品を上演されますが、これは三大振付家の、非常にレベルの高い、美しさでも抜きん出た3作品」と、このプログラムに太鼓判を押す。同時上演のベジャール作品は『春の祭典』。