偉大な音楽ですから、イントネーションにしてもフレーズにしても、つねに新鮮なものが見つかるのです」
語学も達者で、YouTubeでの日本語でのトークが毎回話題になっているホジャイノフ。その国の文化と言語は、音楽とも密接に関係していると語る。
「ある作曲家の作品を演奏するときは、必ずその時代や文化について学びます。どのような背景があってその作品が生まれたのか…その国の文化を知る必要があります。そして文化が一番反映されているのが言語です。日本の作曲家を演奏するときは、もっと日本語を学ぶことになるでしょうね。なぜ日本でこれだけショパンが人気なのかは…『平家物語』に端を発しているのではないかと思います。武士は切腹をする前に「辞世の句」を読みますが、あれほど激しい行為の前に詩を読むというのは、日本人の両極端の性格を感じます。
ショパンにもそうした極端な要素がありますし、日本人が非常に高い美意識を持っているように、ショパンも高い美意識を持っている。ショパンのセンシティヴなまでに心に染み入る美が、日本人の感性に合うのでしょう」
絵画にも詳しいホジャイノフは、彼の教師であるアリエ・バルディに招かれて、テルアビブのテレビでムソルグスキーの肖像と彼の音楽について語ることもあるという。