演奏会間近! 日本音コンピアノ部門の覇者、吉見友貴が語る
とにかく音楽に全てを捧げるような気持ちで、1音1音心を込めて弾きました。ああいう気持ちになることは今までなかったかもしれません」
まさに1音1音、豊かに鮮やかに響いていた吉見のピアノ。「同じ高さの同じ音でもそれぞれ感情が違う。どんな響き、どんなハーモニーなのかということには、かなり気を使って練習しています」とするその響きは今後、彼の強みになりそうだ。
一般家庭に生まれた吉見がピアノと出会ったのは、5歳の時、友達の家にあったピアノを見て「習いたい」と言ったという。以来、他の習い事には見向きもせず、ピアノひと筋。
「演奏会やコンクールを聴きに行くと、同じピアノでも人によって鳴らす音が違い、音楽が違う。そこが魅力だと思うんです。
今の僕の課題は“深み”を出すこと。それが何なのかは難しいところですが、ひとつの手がかりとして勉強もしていますし、色々な曲や作曲家に触れながら、人間的な部分を含め成長していきたいです」
まずは3月の演奏会を聴衆は待っている。吉見が弾くのはチャイコフスキーの協奏曲第1番の1楽章。
「チャイコフスキーはプロコフィエフと同じロシアではあっても全然違う作曲家。ロマンティックですし、民謡のメロディや土臭さも表現しなくてはなりません。