玉城裕規と粟根まことが、明治の西洋菓子職人と成金実業家に!
と、粟根は小泉さながらにほくそ笑む。
舞台では、玉城が菓子を作る場面もあるかもしれない。「イメージを膨らませるために、まずはスイーツより簡単なものから料理を作ってみることにしたんです。家では香味ペーストで野菜炒めを作ったりしています!」と言う玉城に、粟根も「できれば客席にも甘い匂いを漂わせたいよね。実際には漂わなかったとしても、演技で漂うように見せたい。終演後、お客さんが劇場近くのスイーツショップに寄らずにはいられない気分にするのが目標です」と頷く。
明治時代といえば、長く続いた江戸時代が終わり、新しい体制や価値観が次々に生まれた激動の時代だ。「僕はスマホのやり方がよくわからなくて周りに教えてもらうようなタイプなので(笑)、時代の急激な変化の中にいる人々の気持ち、わかります。
色々な事件が起きてわちゃわちゃしてスイーツで解決する楽しいお話ですが、僕はやはり、そうした時代の流れやその後に起きる戦争のことも気になってしまう。そうした状況下でどうやって生きていくかといったことを、どこかで感じさせられたらと思っています」(玉城)
「スマホを含めて新しい物好きの私は、小泉と重なります。ただ、私自身は東西冷戦が終わって世界が平和になった時代に育ったのですが、その頃よりも今はきな臭くなってきて、平和だった江戸時代から侵略戦争に入っていく前触れの時代だった明治23年に似ている気がする。