尾上菊五郎が、新しい歌舞伎座でお家芸の弁天小僧菊之助を演じる
立役がよくなってくると女方が気になるし、女方を一生懸命やると今度立役が……となるんです。完成品ではありませんから、今回も、色々勉強することになるでしょう」
「白浪五人男」の通称でも知られる本作。日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸の5人の盗賊が並ぶ「稲瀬川勢揃の場」も、本作の見どころのひとつだ。「古い歌舞伎座で五人男をやった時、“10年後にやって、誰も抜けてないだろうなあ”と言ったら“そんなことないよ”と答えた夏雄ちゃん(市川團十郎)が一番先に逝き、それから寿(坂東三津五郎) も逝って、非常に寂しい思いをしました。今回、新しい歌舞伎座の五年祭にあたり、この辺りで一遍やろうかなと。(市川)左團次さんのようにずっと一緒にやってくださっている方もいる一方、(尾上)松緑も(尾上)菊之助も揃うし、(市川)海老蔵くんの日本駄右衛門も初めてだと思う。鳶頭も(故・尾上)松助がやっていたから(息子の尾上)松也にやらせます。(芸の継承を)意識して配役を決めました」
若い世代に伝えたいことを問われると、「言葉の間(ま)と、歌舞伎の江戸っ子言葉。
“ひゃく“と言わず“しゃく”と言うわけですが、あんまり“しゃくがにしゃくと……”と言われるとゾッとしちゃう。