くらし情報『師バーンスタイン百歳に贈る、佐渡裕渾身の恩返し』

師バーンスタイン百歳に贈る、佐渡裕渾身の恩返し

「でも、そんな理屈を知らなくても虜にさせるのがすごい。バーンスタインの音楽にはさまざまなジャンルの音楽が共存している。ジャズの自由さ、クラシックの重厚さ、ラテン音楽のノリ。それをオケをフル活用して聴かせてくれる。欲張りバーンスタインのなせるわざですね」。『ウエスト・サイド』は、まさにそんな魅力が凝縮した、バーンスタインの最高傑作だ。

1990年の夏、来日中に体調を崩して帰国するバーンスタインを佐渡は空港に見送った。「ついにユタカにビッグ・グッバイを言わなければならない時が来た」と言う師に、なぜかどうしても別れを言えなかったという。
その3か月後、バーンスタインは急逝する……。

6年前の前回公演。「音楽=レナード・バーンスタイン」というエンドロールに、客席から静かな拍手が自然に湧き起こったのは、小さな奇跡のようで感動的だった。会場のライヴ・スクリーンに大写しされた佐渡も感極まっているように見えた。「そりゃ、映像に合わせるの、めちゃくちゃ大変でしたから」と笑うが、けっしてそれだけではなかったはずだ。1987年にタングルウッド音楽祭でバーンスタインに師事。翌年から3年間、アシスタントを務めた。

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