佐々木蔵之介がねずみ男!? 水木しげるの世界が新作舞台に
という明確な発表あり)。
堂々たる二枚目の佐々木と、狡猾な三枚目キャラのねずみ男のイメージがつながらないまま現場に入ると、クタッとしたジャケットの中に白の開襟シャツという、戦時中の男性のような服装の佐々木がカメラの前にいた。ねずみ男というヒントは、あらかじめ佐々木に伝えられていたのだろう。少し猫背で、横柄にポケットに手を突っ込みながら、やや出っ歯気味にしてニヤニヤと含み笑いをする。端正な顔立ちと長い手足は隠しようがないが、意外にもちゃんと“不気味”な印象を抱かせる。
ごく近くで見ている前川は撮影中、一切口を挟まない。ディレクターの指示に合わせ、佐々木はリラックスした様子でゆったりと、無言のまま体を動かし続ける。ごくシンプルな背景と相まり、コンテンポラリーダンスのパフォーマンスを観ているような感覚があった。
またどこか性別を超えたような、さらに言うと人間のようで人間でないような。ねずみ男とは水木オリジナルの妖怪で、人間と妖怪との間に生まれた半妖怪であるという。「超人的なヒーローになっていく鬼太郎に対し、ねずみ男はいかにも人間くさい。妖怪だらけの世界で、ひとり人間の現実を背負っている。妖怪なのに」