プッチーニは3演目をまとめて上演することを前提にしているのだが、単純に考えると、舞台装置や衣裳、出演歌手の人数も3公演分になるわけで、上演費用の面からも、実際に三部作として上演される機会は少ない。しかし今回のような三部作一挙上演こそがプッチーニの思い描いた本来の上演形式なのだ。
演出を手がけるのは鬼才ダミアーノ・ミキエレット。もともと3作品の間にはストーリーや音楽上の共通点はなく、各物語は時代も場所もばらばらだ。しかしミキエレットは、3作すべてを現代の物語として読み替え、ストーリー的にも共通点を見出して関連づけているという。高田によれば、キーワードは「(死んだ)子供」そして「母性と父性」。さらにもうひとつ三部作を関連づける仕掛けがあって、ヒントとしては、「(ジャンニ・スキッキで)ラウレッタのアリア《私のお父さん》を聞いて、父親ジャンニ・スキッキはなぜ心変わりしたのか」とのこと。三部作に通底するこれらのテーマを可視化するミキエレットの手腕は天才的だと、驚きを語った。
ミニ・ライヴでは、高田のほか、公演でラウレッタ(ジャンニ・スキッキ)、ジェノヴィエッファ(修道女アンジェリカ)、恋人たち(外套)