本来のカッコよさに辿り着くまでの入り口を増やす作品だと思っています。この作品は、僕と同世代の方々にも楽しんでもらえることをテーマにしています」。
具体的には「クラブミュージックやダンスミュージックなど、僕ら世代にとっての身近な音楽からインスパイアされた楽曲がいくつかあります」と住吉。奏者の山脇も「使うバチやそのタッチ、音量など、いろんな部分が繊細につくられているなと思います。太鼓にはいろんな音があると学ぶ日々です」と語り、これまでにない鼓童の音が楽しめそうだ。その音のキーになるのは、山脇が演奏するマリンバ。住吉は「僕がやりたい音楽の大きなテーマに“反復と揺らぎ”というものがあって。公演タイトルでもある『巡』という楽曲も、何度も何度も反復していくようなものをつくりました。
ただ、繰り返す旋律って、太鼓でやるとメロディがないので繰り返し感が出ないんですよ。でも笛だと息継ぎがあるので人間臭さが出ちゃったりして。それでマリンバに至りました。淡々とした繰り返しを表現できるし、民族楽器にも西洋楽器にも自然の音や電子音楽にも聞こえる無色透明さがあるので」。山脇も「マリンバに合うのはどんな音なのか、先輩たちの音を聴いて、自分の音を聴いて、作品作りに向かっています」