登場人物の名前は「日立」「東芝」など聞いたことのある企業名が並び、現実の各企業の関係と照らし合わせると思わずニヤついてしまう。また、いたるところに「死語」となった昭和のギャグが散りばめられ、それにピンとこないヤンキーたちとのチグハグさも笑える。全編を通して、昭和の息遣いと現代の空気が混ざり合っていく。
舞台に立つのは20~67歳の劇団員38名。三宅は「劇団員全員の見せ場があって、ひとりひとりが力を発揮して盛り上がる。劇団力を問われる公演だと思います!」と宣言。その通り、創立メンバーから若手までそれぞれの持ち味が披露される。ダンスだけでもロボットダンスにヒップホップ、ミュージカルに群舞など多彩。
またコント、ギャグ、アドリブ、時事ネタなど、隙あらば笑いの球を投げてくる。次にどんなパフォーマンスが繰り広げられるのか……目を離す暇がない。
客席にも、幅広い世代の観客がいる。長年のファンはSETのお家芸のような掛け合いや看板俳優・小倉久寛らの登場に沸き、SET初観劇らしき観客は手を叩いて爆笑。舞台上でヤンキーと周囲の大人たちが心を通わせていくように、客席の笑いもひとつになっていくのは心地のいい体験だ。