手塚治虫原作『奇子』中屋敷法仁「目を背くことを許さない作品に」
中屋敷法仁撮影:イシイノブミ
原作は手塚治虫、上演台本・演出を中屋敷法仁、主演を五関晃一(A.B.C-Z)が務める舞台『奇子(あやこ)』が7月に上演される。手塚治虫の“黒い”作品群の代表作を初めて舞台化する本作について、中屋敷に話を聞いた。
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中屋敷がかねてから舞台化したかったという本作。初めて読んだのは小学生のときで「父がファンで、家には手塚治虫の作品がたくさんあったのですが、そのなかでも子供心に『これは読んではいけない作品だ』と理解していました」と振り返る。それもそのはず。そこに描かれているのは、東北の大地主一族の不貞によって産まれた“奇子”の物語。一族の体面のために地下室に幽閉され育った美しい奇子が、ある日世に放たれる――という、少女監禁や近親相姦などセンセーショナルな描写が多い作品で、大人が読んでも衝撃は大きい。
手塚治虫にはさまざまな名作があるが、なぜこの『奇子』なのかを尋ねると、中屋敷は「演劇のよろこびは、生身の俳優と生身の人間を観て、普段僕らが出会えない人間の本性と向き合えることだと思う」と語り、そのうえで「僕にはこの『奇子』が手塚治虫作品の最高傑作…最高怪作」