クライマックスの凄唱は、ぜひとも劇場で体感してもらいたい。萩原潤、片寄純也、清水華澄らも好演。
演出のデッカーは、次のように語る。「サロメは、非常に退廃的な環境にあって、純粋で悪のない女性。しかし、周りからは放置された存在であり、そのために野生的。高い地位にあり、自身の意志を通せる立場にいるが、愛情や恋というものを感じたことがない。そこに、自分とはまったく次元の違うヨカナーンが現れる。彼は人間を超越した存在を信じ、他の人とは違う神聖さを持っており、サロメが憧れている愛情がすべて彼に注がるようになっていく。
彼女の期待を叶えられる唯一の存在であると。だからこそ、サロメをヨカナーンが拒絶したとき、彼女が選べる道は、自分と彼を殺すことしかなかった。それが彼女の希望と絶望をすべて満たす道だった。彼を殺し、首にキスをする。彼を殺すという現実的な次元を超え、精神的な次元での結びつきを達成した。この瞬間に、オペラのキーワードとなっている“愛”と“死”の結合が表される」
公演は6月5日(水)~9日(日)まで東京文化会館大ホールにて上演。チケット好評発売中。