再始動コンサート中の宮沢和史、ニューアルバムも発表
ではなく、「人間宮沢」という視点で自分を見つめることができました」
中でも胸に突き刺さるのは「歌手」の一節 “僕はもう 歌手じゃないから”。 この言葉を生み、歌った背景には、大きな覚悟があったのではと想像する。どんな時期にどんな思いで作詞したのだろう?
「歌手を引退してから数ヶ月後です。もう人前で自分の作品を発表することは二度とないとわかっているのに、この詩を書いたことが不思議でした。さらに、メロディーをつけやすい字数の作詞になっていました。染み付いた職業病でしょうか?」
アルバムの1曲目『Paper Plane』の歌詞は、生命には終わりがあることに根ざしている一方、”キリストが見下ろす街”(=リオ)、”エイサーが踊る島”(=沖縄)への旅も歌いこんでいる。これまで世界中を旅し、様々な出会いと経験を通じて自身の音楽をさらに豊かなものにしてきた宮沢和史。彼の旅はこれからも続くのだろうか?
「自分の飛行、すなわち人生の航路が“ぶざま”であると自覚したことはとても素晴らしいことだと思っています。
これからはカッコつけず、自然な旅ができる気がしています」
宮沢和史が自らライフワークに位置づけている【時を泳げ魚の如く】コンサートは、ニューアルバムの発表を経て、新たな局面を迎えた。7月5日(金)に世田谷区民会館にて実施されるチケットは好評発売中。
取材・文:中原仁