海辺の別荘に集う、女達の16年の行方は……『フローズン・ビーチ』開幕
みんなでリビングにいる時にはニコニコ笑っていても、誰かと誰かがふたりきりになると実は……と隠されていた思いが垣間見え、まるで覗き見しているような気持ちになる。
そこに、遠出をしていたはずの萌と愛の義理の母・咲恵(シルビア)が予定より早く帰ってきたことで、それぞれの思惑が予想外の方向へ走り出す。5人の女はどうなっていくのか。1987年、1995年、2003年と、彼女たちの8年毎の変化を、観客は追っていくことになる。
舞台中央に、大きなバルコニーがある。そこから聞こえる波の音、そしてブルーと白を基調にしたこぎれいな部屋が、カリブの海を思わせる。美しく落ち着いた場所だからこそ、女達の情念がコントラストとなり際立つ。また、場面が変わるごとにスクリーンに映し出される絵本のようなイラストも、彼女達の滑稽さとコミカルさをつのらせる。
生々しい感情を抱えた登場人物たちが、愛しいキャラクターに思えてくる。
4人の女優のバラバラな個性が、鈴木の丁寧な演出のうえで互いにぶつかり合う。動きだしてしまった運命は止められない。憎んだり、愛したり、心配したり、救われたりしながら交差する女達の16年はとてもスリリングで愛しい。