歌って踊って日本の歴史を駆け抜ける!? 三谷幸喜の作・演出、荻野清子の音楽によって誕生し、絶賛を博したオリジナル・ミュージカル『日本の歴史』が帰ってくる!卑弥呼の時代から太平洋戦争までの約1700年にわたる日本の歴史をギュギュっと詰め込み、そこにテキサスの家族の歴史物語も重ね合わせていく斬新な構成、耳に残るキャッチーなメロディと軽妙なダンス、それらをキャスト7人で華やかに、またしっとりと魅せていくゴージャスな舞台。始まりから終わりまで休みなし! の7人のひとり、三谷の熱き信頼を受けるこの人、シルビア・グラブに、再演に懸ける思いを聞いた。7人で60役以上を演じた初演時の舞台裏――大好評だった『日本の歴史』が再登場!シルビアさん扮する織田信長にまた会えることが嬉しいです。ええ、信長にも、西郷どんにも(笑)。再演の話は結構早い段階から出ていて、中井貴一さんなどもとても乗り気でいらしたんですよね。また皆が同じ気持ちでこの再演に挑める、それが一番嬉しいですね。――そもそも三谷さんが、シルビアさんの織田信長を切望したことから始まった舞台でもあると伺っています。『日本の歴史』をやる前から、「シルビーには信長をやってほしいんだよね!」ってずっと言われていたんです。この人は何を言っているんだろう……って思っていて(笑)。初演の時に三谷さんが「歴代一番の信長だ!」って言ってくれたんですけど、そんなわけないでしょ!? って思いながらやっていました(笑)。でもすごく楽しかったですね。――まずは初演を振り返っていただきましょう。とにかく、台本を最初に開いた時に……『日本の歴史』なのにテキサスかいっ!と(笑)。もうその瞬間からツッコミどころ満載でした。“テキサス編”と“日本の歴史編”、ふたつの内容が行ったり来たりする構成で、台本の頭に役名がたくさん書いてあるわけですよ。役者は7人しかいないのに、何だこりゃ!? と思いましたね。ひとり何役やることになるのかと……。私が演じる歴史上の人物は、卑弥呼以外、全員男ですし(笑)。実際に稽古でやってみると、とにかく休む場がない。舞台からハケてもすぐに着替えて、10秒とかで次の場面に出なきゃいけなかったりするので、あれ、今、私はどこで、誰をやっているんだっけ!? って(笑)。それに慣れるまで時間がかかりました。ただ、わりと稽古のスタートが早かったので、とにかく台詞、歌詞、振付を全部体に入れ込んで、通し稽古の時間をたくさんとったんです。衣装合わせも早い段階でやって、おかげでどうにか間に合った、という感じでしたね。本当に余裕はなかったんですけど、舞台稽古に入ってから、ほかのキャストの皆さんのメイクとカツラと衣装をつけた姿を見たら、最高に面白かったですね(笑)。(宮澤)エマの平清盛なんて最高! 何なの、あの可愛さは!って。中井さんの女装も、なかなか見られないですよね。また、今回の再演には残念ながら出演しませんが、川平慈英の女装がブサイクでね〜!(一同笑)こんなに女装が似合わない人がいるんだ!ってくらい面白かったです。――再演では、川平さんのポジションに瀬戸康史さんが入られますね。そう、だから絶対にキレイになっちゃう!誰よりもキレイになっちゃうかもしれません。瀬戸さんはずいぶん早くから歌稽古をやられているみたいで、すごくやる気を感じますよね。好印象です(笑)。今こそ深く響く「結局因果は繰り返されていく」というメッセージ――初演時の印象的なエピソードなどがあれば教えてください。やっぱり、中井さんが歌って踊るということですよね。一番最初の稽古の時、とても緊張されているのが伝わって来て。こんなにベテランの方でも緊張するんだ! と、ちょっとホッとしたことを覚えています(笑)。あと、“日本の歴史編”のほうで方言を喋らなくちゃいけないんだけれど、最初のうちはまだ指導も受けていないから、あまりに酷かったんです(笑)。だって鹿児島弁なんて喋ったこともないし〜と思いながら私もやっていて、慈英の京都弁も酷くて、それを中井さんが笑い転げながら見ていましたね。「皆、このまま舞台に立って欲しい」って(笑)。皆で大爆笑して、それで一気に打ち解けたような気がします。誰にも不得意なものはあるよ、というスタートですね。中井さんが「同志だから、皆で頑張っていこう」というオープンな空気を出してくださったので、とてもやりやすかったと思います。――中井さんも、客席から見て中井さんだか誰だかわからないようなお婆さんの役もされていました(笑)。そう、最高ですよ。性別も年齢も何も関係ない、そういう作り方も三谷さんのメッセージなのかもしれませんね。――本作は、荻野清子さんの音楽なくしては成り立たない舞台です。シルビアさんから見た荻野さんは、どんな方なのでしょうか。普段お会いしている時は、とても柔らかい、ホワンホワンした空気感をお持ちの方なんですけど、言う時は言う! という人です(笑)。ちゃんと芯があって、アイデアをたくさん持っていて、とにかく芝居が大好きで。だから三谷さんとの相性がよく、素晴らしい作品を作られるのだと思います。荻野さんと三谷さんがタッグを組んで、映画や舞台でさまざまな音楽を生み、『SHOW GIRL』を経て、こうしてオリジナル・ミュージカルを誕生させた。ふたりで徐々にステップアップしていって、この作品を生み出したんだな、という感慨があります。――本作の音楽に関しては、どのように感じていますか?再演をやるにあたって、サウンドトラックを聴き直したんです。それまでは、スタジオ録音じゃなくてライブ録音だし……と思ったり、なんとなく恥ずかしかったりして聴いてなかったんですよ。どうかな〜と思って聴いたら、楽しくて、ものすごく良かったんです。メチャメチャいい作品じゃない! とあらためて思ったのは、清子さんの音楽の力が大きいと思いますね。――再演には新曲があるという噂も。また台本も、三谷さんが新たに加えたり、変えたりしているのでしょうか?新曲、あるかもしれない(笑)。楽しみです。新しい台本もいただいていて、チョイチョイいじっているな、という感じですね。稽古に入ってからまた変わっていくんじゃないかと思います。――シルビアさんにとって、本作の一番心に響くポイントとは?いつの時代であろうと、世界のどこであろうと、結局人間は一緒なんだということ。救いようがないという意味じゃなく、結局因果は繰り返されていく……というところに、三谷さんのメッセージが込められていると思います。また今年のこの状況下で上演すると、そのメッセージがさらに深まっていく気がするんです。それこそ「人生で大事なものは、人生で大事じゃないもの〜♪」という歌なんて、エンタテインメントの意義について考えさせられて、もう今だからこそ伝わるのでは! なんて、やる側としては完全にそんなふうに考えますよね。――再演に向けての、ご自身の課題は?次は、もうちょっと余裕を持って出来るんじゃないかなと(笑)。三谷さんの作品の中では、わりと私、再演をやっているんです。『国民の映画』も、『SHOW GIRL』もそうで、明らかに2回目のほうが余裕を持って舞台に立てている。三谷さんの意向を分かったうえで稽古に入りますしね。だからなんとなく気が楽……、いや、この作品は全然楽じゃないですけど(笑)。絶対にレベルアップした舞台にしたいですね。『SHOW GIRL』初日の拍手で号泣・・・観客がいる前で舞台に立てる事の尊さ――劇場で、観客の皆さんの反応が楽しみですね。本当にそうです。お客様がいての演劇ですからね。やっぱり、お客様の目の前でやらないと意味がない、と思ってしまうんですよね。昨年はコロナ禍で、全公演中止となった作品をふたつ、経験しました。この一年ずっと不安の中にいて、やっと舞台に立てた時の喜びといったら……。昨夏の『SHOW GIRL』の初日、もう慈英とふたりで、舞台上でオジサンとオバサンがあんなに号泣して……(笑)。思い出しただけでも涙が出て来るんですけど、お客様の前で舞台に立てる、それが私にとってどれだけ大事なことだったのかを、あらためて知った日でした。演劇の灯を絶対に消したくない。だって、やる側も観る側も、舞台を好きな人がこれだけいるんですもの。あの時のお客様からいただいた拍手は、忘れられないですね。貴一さんからも連絡が来たんですよ。貴一さんも準備していた舞台が中止になってしまって(編集部注:インタビュー時、PARCO劇場オープニングシリーズ『月とシネマ』の東京公演中止が決定。その後、緊急事態宣言の延長により大阪公演も中止に)、「あとは幕が開くだけという状況まで来たのに、それをお客様に届けられなかったことが本当に辛い」と。新納(慎也)くんもやっぱり、公演(ミュージカル『スリル・ミー』)が途中で止まったり、大阪公演がなくなったり。皆そういったことを経験しているので、メチャメチャ熱い気持ちでこの『日本の歴史』に集まってくると思います。――お客様も「やっぱり劇場で観たい!」という気持ちでいらっしゃると思います。そう!去年の夏、その思いがすごく伝わって来て、感動したんですよ。この舞台も、たった7人でこれだけバラエティー豊かな役柄を見られる舞台はそうそうないと思います(笑)。楽しく観ながらも、とても考えさせられる作品でもあると思うので、ぜひぜひ多くの方に観に来ていただきたいですね。ミュージカルが苦手と思っている人も、絶対に大丈夫です(笑)!取材・文:上野紀子撮影:藤田亜弓公演情報『日本の歴史』作・演出:三谷幸喜音楽:荻野清子出演:中井貴一 / 香取慎吾 / 新納慎也 / 瀬戸康史 / シルビア・グラブ / 宮澤エマ / 秋元才加【東京公演】2021年7月6日(火)~2021年7月18日(日)会場:新国立劇場 中劇場【大阪公演】2021年7月23日(金)~2021年7月30日(金)会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ★5月23日(日)10:00より東京公演分のチケット一般発売開始!
2021年05月21日緊急事態宣言によって公演中止になったケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)作の舞台「KERA CROSS」の配信が決定。KERA CROSS 第三弾『カメレオンズ・リップ』急遽、オンデマンド配信決定!5月15日(土)に大千穐楽を迎えた舞台、KERA CROSS第三弾『カメレオンズ・リップ』のオンデマンド配信が、急遽、5月20日(木)〜23日(日)に決定しました。劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の過去の戯曲を、才気溢れる演出家たちの手で新たに創り上げる、シアタークリエ連続上演シリーズ「KERA CROSS」。その第三弾である『カメレオンズ・リップ』は、河原雅彦を演出に迎え、今最も注目される俳優のひとりである松下洸平、乃木坂46出身で確かな演技力で舞台作品に多数出演する生駒里奈、演技・音楽・バラエティ番組出演と八面六臂で活躍中のファーストサマーウイカ、そして、第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞の岡本健一、といった話題と実力を兼ね備える力強いキャスト陣で、2021年4月から東京(北千住、日比谷)、福島、愛知、新潟で上演されました。しかし、4月23日発令の緊急事態宣言により、5月2日(日)〜4日(火)に予定されていた大阪公演は中止となり、悔しさを噛みしめたファンも多かったのです。そういった状況を踏まえ、「来場が叶わなかった方々にいち早く公演を観て頂く機会を」というカンパニーの想いから、配信が急遽決定しました。各地にてスタンディングオベーションで迎えられた舞台の、まだ冷めやらぬ熱気を受け取ってください。今回の配信のために編集された“配信限定編集版”での配信となります。informationKERA CROSS第三弾『カメレオンズ・リップ』オンデマンド配信配信期間:5/20(木)10:00配信開始(5/23(日)23:59までアーカイブ有り)配信元: PIA LIVE STREAMチケット料金:4,000円※配信される舞台映像は、シアタークリエにて収録された映像を配信用に編集した“配信限定編集版”となります。KERA CROSS第三弾『カメレオンズ・リップ』作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出:河原雅彦音楽:伊澤一葉(東京事変、the HIATUS)出演:松下洸平生駒里奈ファーストサマーウイカ坪倉由幸(我が家)野口かおる森 準人シルビア・グラブ岡本健一企画・製作:東宝キューブ舞台写真・桜井隆幸
2021年05月18日KERA CROSS第三弾『カメレオンズ・リップ』に出演する、生駒里奈さんにお話を伺いました。ズレたまま進んでねじれていく会話、トボけたキャラクターに、リアルと非リアルの間をたゆたうような世界観。ナンセンスコメディの旗手、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが2004年に書き下ろした戯曲『カメレオンズ・リップ』。かつて堤真一さんや深津絵里さんにより上演された人気作が、今回、新たな演出家の手により17年ぶりに蘇る。「これまでやってきた舞台とはまったく違うテイストだし、役も、台本に書かれた通りにストレートに演じるということが通用しない。本格的にお芝居をやり始めたのが乃木坂46を卒業してからの私にとって、ほぼ初めてのような感覚の作品です」20世紀初頭のヨーロッパらしき場所の古びた邸宅を舞台に繰り広げられる、互いが互いを騙し騙され、混乱が混乱を呼んでゆくコメディ。「セリフのやり取りのなかにクスッとくる面白さがあるんですけど、なかには、普段笑っちゃいけないと言われるようなブラックな笑いも織り交ぜられていて、絶妙なバランスの作品だなと思います。演出の河原(雅彦)さんは、『普通にやってるだけじゃ面白さは伝わらないから、このキャラが何を思って行動したかをはっきり見せていこう』とおっしゃっていて、『セリフが流れないよう、きちんと言葉を立てて伝えないと』と。稽古していくなかで気づいたのは、私の場合は笑わせにいったらダメなんだってこと。役を普通にやることで、観た人が笑ってくれる。そこを目指せばいいんだな、と一昨日くらいに気づいたところです(笑)」演じるのは、松下洸平さん演じるルーファスの死んだ姉・ドナと、彼女にそっくりな使用人のエレンデイラの二役。人を煙に巻く発言ばかりで一向に真意が読めないキャラクターゆえの難しさも。「私は構築とか計算とかが苦手で、“役を作る”というより稽古場に立ってみて、その時の感情や直感で動くタイプなんです。でも今回の役は、日本に住んでるのにいきなりここはアメリカですと言われているくらい、求められているものが違う。難しいですけれど、お芝居にもいろんな種類があってやり方があるわけで、いろんなことをできるようになっていかなくちゃと思っています」生駒さんには目指すものがある。それは「いろんなワクワクが詰まったエンターテインメント」だ。「一番の理想型が堂本光一さんの『Endless SHOCK』です。カッコいい歌もダンスもあって、衣装も演出も華やかで、宙を飛んだりもして。去年初めて観て、『なんだこれは!?』ってずっと口を開けっぱなし(笑)。観て励まされたし、自分もこんなキラキラしたものになりたいと思ったんですよね。芝居はもちろんダンスも歌も磨かなきゃいけないし、立っているだけでサマになる華も身につけなきゃいけない。そのためにも、いま目の前のものを必死でやっていくだけです」『カメレオンズ・リップ』ルーファス(松下)は、死んだ姉に瓜二つの使用人・エレンデイラ(生駒)と郊外の谷間にある古い邸宅に暮らしている。その邸宅をさまざまな人が訪ねてくるが、どの人も虚実入り交じり…。はたして真実はどこにあるのか。4月2日(金)~4日(日)北千住・シアター1010全席指定1万円4月14日(水)~26日(月)日比谷・シアタークリエ全席指定1万500円作/ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出/河原雅彦出演/松下洸平、生駒里奈、ファーストサマーウイカ、坪倉由幸(我が家)、野口かおる、森準人、シルビア・グラブ、岡本健一キューブ TEL:03・5485・2252(平日12:00~17:00)福島、大阪、愛知、新潟公演あり。いこま・りな1995年12月29日生まれ、秋田県出身。乃木坂46を2018年に卒業。8月には主演舞台『‐4D‐imetor』も控える。出演映画『光を追いかけて』は今年公開予定。ポンチョ¥40,700 カットソー¥24,200パンツ¥41,800(以上Ground Y/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL:03・5463・1500)シューズ¥63,800(Y’s/ワイズ プレスルーム TEL:03・5463・1540)ピアス各¥13,200リング¥38,500(以上CHERRY BROWN TEL:03・3409・9227)※『anan』2021年4月7日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・津野真吾(impiger)ヘア&メイク・スズキユウジ(MAXSTAR)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2021年04月06日三谷幸喜が作・演出を手掛け、2018年末に上演されたミュージカル『日本の歴史』が、2021年7月に再演されることが10日、明らかになった。出演は、中井貴一、香取慎吾、新納慎也、シルビア・グラブ、宮澤エマ、秋元才加の初演メンバーに、段田安則が参加。この7人が、60役以上の老若男女の登場人物たちを演じ、歌い、踊り、歴史を駆け抜ける。もともと歴史好きで知られている三谷氏は、近年多くの歴史ドラマや舞台を手がけ、2022年放送予定の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も執筆。その独自の着眼点とアイデアで、エンターテイメントの姿を通して、改めて歴史の面白さや奥深さを伝えている。その三谷氏が手掛けたオリジナル・ミュージカル『日本の歴史』の再演が決定。長きにわたり、三谷氏の作品の世界観を支えてきた作曲家・荻野清子氏と共に創り上げ、珠玉のキャスト陣が歌い踊った壮大な“大河ミュージカル”が帰ってくる。初演以来高まってきた再演希望の声に大きな力を得て、決定したという。「卑弥呼の時代から太平洋戦争までの約1700年に亘る日本の歴史を凝縮」したこのミュージカルは、60人以上にも及ぶ歴史上の人物たちや市井の人々を、たった7人の俳優たちが演じ、歌い、踊るという大胆な構成。その中で、キャッチーなメロディーと親しみやすい歌詞に乗せて、めまぐるしく移り変わる歴史の場面が目の前で紡がれていく。脈々と次世代につながっていく人間の因果のドラマが語られ、ただの歴史の出来事の羅列ではない骨太な物語が展開される。
2020年12月10日『はだしで散歩』『映画に出たい!』『思い出のブライトン・ビーチ』『23階の笑い』などなど、日本で翻訳上演された作品も数多いブロードウェイ随一の喜劇作家、ニール・サイモン。その最高傑作とも言われる『おかしな二人』が、演劇界きってのコメディエンヌ大地真央と、本格的コメディには初挑戦となる花總まりという魅惑の初顔合わせで上演される。『おかしな二人』のブロードウェイ初演は1965年だが、その主人公は男性ふたり。これが映画化やドラマ化もされる大ヒットを記録したあとの1985年、気の合わないルームメイト同士が巻き起こす騒動という設定はそのままに、サイモン自身が女性ふたりを主人公にして書いたのが、今回上演される『おかしな二人・女性版』だ。舞台はマンハッタン。無精者のオリーブ(大地)が住む部屋は散らかり放題だが、女友達が毎日のように集まっては、ゲームやおしゃべりで盛り上がっている。ある日の話題は、夫から離婚を切り出されたばかりの友人フローレンス(花總)について。皆で傷心の彼女を心配していると、玄関のベルが鳴り本人が入ってくる。夫に未練タラタラのフローレンスに、オリーブは新たな人生を送るべきだと、自分との同居を提案。だが部屋に転がり込んできた彼女は病的なまでにきれい好きで、正反対のふたりは衝突を繰り返す――。上演にあたり、「こういう状況下だからこそ、笑顔で免疫力を上げていただき、ハッピーをお届けできたら」とメッセージを寄せた大地と、その大地について「私にとっては雲の上の方。まさかこんな日が来ようとは……。楽しみです。くっついていきます!」と意気込んだ花總。宝塚歌劇団の先輩後輩にあたるふたりが、やはり歌劇団の演出家である原田諒のもと、オリーブとフローレンスとして火花を散らす。女友達役にシルビア・グラブ、宮地雅子、平田敦子、山崎静代(南海キャンディーズ)、ふたりをかき乱すスペイン人兄弟に芋洗坂係長と渡辺大輔と、共演陣も盤石。抱腹絶倒間違いなしの『おかしな二人』は、本日10月8日(木)よりシアタークリエで上演されたあと、11月に大阪でも公演を行う。『おかしな二人』潤色・演出:原田諒(宝塚歌劇団)10月8日(木)~10月25日(日)東京・シアタークリエ11月5日(木)~11月8日(日)大阪・梅田芸術劇場にて上演文:町田麻子
2020年10月08日花總まりが、喜劇作家ニール・サイモンの代表作『おかしな二人』で本格的なコメディに挑戦する。開幕を約2週間後に控えた稽古場で語る心境に、耳を傾けた。【チケット情報はこちら】1965年に米ブロードウェイで初演され、映画やTVドラマに派生した本作。いずれもニューヨークにあるアパートの一室を舞台に、性格が正反対の男性2人が巻き起こす騒動が描かれる作品だが、85年には登場人物の性別を入れ替えた別バージョンが上演された。今回はこの85年版を下敷きに“無精者”のオリーブを大地真央、“病的なまでに几帳面”なフローレンスを花總が演じ、その脇をシルビア・グラブ、宮地雅子、平田敦子、山崎静代(南海キャンディーズ)、渡辺大輔、芋洗坂係長といったコメディの腕利きが固める。これまでミュージカルの出演が続いた花總は、まず「膨大なセリフ量を覚えて発することに必死で、内容のおもしろさを的確に伝えるのが難しいですね」と会話劇の洗礼を受けている様子を明かした。同時に“コメディエンヌ”と称される大地と向き合う中で「自然なお芝居の中に絶妙なテンポ感や間があって……さすがだな、と日々勉強させてもらっています」と喜劇の“先輩”から学ぶ姿勢を欠かさない。演出を手がける原田諒とは、花總が宝塚歌劇宙組のトップ娘役に就いていた2003年から面識があり「演出助手として入団した原田さんが今ではテキパキ指示を飛ばしており、時の流れを感じました」と笑顔を見せた。原田の演出は「神経質なフローレンスなら、きっとここを片付けたくなるはず」といったように、芝居の動きを整えて作品の精度を上げていくもの。「役を昇華して自分の中へ浸透させる参考になります」と信頼を寄せる。キャストやスタッフから薫陶を受けるだけでなく、映画(68年)も自らの血肉に変える花總。「何も取り繕わない、あるがままの2人の小競り合いがこれほどおかしいなんて」と感想を述べると、「このおもしろさを伝えるには大地さんとのキャッチボールが重要」「力を抜いて楽しみます」と“爆笑コンビ”を誓った。楽しく華やかな歌唱ナンバーが続くスペシャルカーテンコールと併せて、花總が見せる新たな一面に注目してほしい。公演は10月8日(木)~25日(日)に、東京・シアタークリエにて。その後、11月5日(木)~8日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティと巡演する。ぴあでは、座席指定できるチケットを販売中。取材・文:岡山朋代
2020年09月28日小西遼生撮影/山田智絵『キャッツ』『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキング』の作詞を手がけたティム・ライス。ミュージカル界の両巨匠が学生時代に初めてタッグを組んだ伝説のミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』が、初めて日本人キャスト版で上演される。この話題作に出演する実力派ミュージカル俳優・小西遼生さんに、作品の見どころやミュージカルの魅力について聞いた。■王道作品とは異なる“楽曲の幅広さ”「王道ミュージカルを数多く作っているアンドリュー・ロイド=ウェバーさんとティム・ライスさんが、初期にこんな作品を作っていたんだってところがすごいですよね。ロイド=ウェバー作品は日本でも人気がありますが、『キャッツ』『オペラ座の怪人』『エビータ』とか、そういう作品のイメージからは、まったく想像できないような作品。なので、彼の作品を知っている人ほど驚くと思います」今作は旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、波乱に満ちたジョセフの人生が全編音楽で綴(つづ)られる。兄弟に奴隷として売られたり、投獄されてしまったり、国王に仕えるようになったり……。数奇な運命をたどるジョセフの人生を表すような、ロック、バラード、シャンソン、カントリー、ラテンなど、さまざまなジャンルの楽曲が演奏されるのが魅力。「『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』のような、いわゆるミュージカルの場合は、音楽を紡いでひとつのストーリーを音楽に消化している感じですけど、これは本当にいろいろな音楽が詰め込まれている。“歌だけでやっちゃうんだ”って、ちょっと衝撃的でした。この作品は、すごく遊びごころがあって、学生時代のロイド=ウェバーさんとティムさんが初期の衝動でやりたいから作ったっていう感じがするので、そこが面白い。主人公のジョセフがすごく苦労する話なのに、それを吐露する曲も悲劇的なメロディーじゃなかったりするんですよね。踊り出すような曲だったりコミカルな曲だったり、悲劇も明るい音楽で表現する。ユニークでエンターテイメント性の高い作品だと思います」■薮宏太は“すごくいい人”今回が初共演となる、主人公ジョセフを演じるHey! Say! JUMPの薮宏太さんについては、“言葉の選び方が大人で、すごく知性的な人”というのが第一印象だと語る。「それに、すごくいい人だなと思いました(笑)。ジョセフって、ひどい目に遭わされても憎しみを持たずに、人を信じて自分の夢を信じて、それを叶(かな)えようとする人物なので、それを等身大でやるんだろうなと、薮くんに会って感じました」小西さんが演じるのは、ジョセフが仕えるエジプトのファラオ。ゴージャスな王様とは、まさにハマり役。「ファラオって言うとき、ちょっとためらいますよね(笑)。口に出すとけっこう太字の言葉だなって思いました。この物語の中では、時代のカリスマで、地位も名誉もすべてを持っている王たる王だと思います。ファラオが歌うプレスリー風の楽曲にも注目してほしいです。ほかにも名曲がたくさんありますし、僕も楽曲を聴いているだけでワクワクします。楽しんでもらえる作品になると思います」舞台に音楽活動に多忙な日々を過ごす小西さんだが、休日も自宅にこもって曲作りをしていることが多いそう。「音楽はライフワークというか楽しみでもあるので。CDのジャケットデザインとかも自分でやっているので、デザインを作るためのソフトの勉強とかに時間を使ってますね。でも、そもそも自分の好きなことを仕事にしているのでオフが欲しいという気持ちになったことがないです」■1回見ただけで3か月はハッピーに日々の家事にもお忙しいようで──。「料理も、ほとんど毎日作ります。最近よく作るのは、オイスターソース焼きそば。親しくしていただいている俳優の渡辺裕之さんから教えてもらったんですけど。焼きそばの麺をパリパリぐらいになるまでしっかり焼いて、そこに豚バラとネギを加えてオイスターソースで炒めるだけなんですが、それはすごくウマいですよ」最後にミュージカル初心者の読者へ小西さんからメッセージ。「お仕事をされたり、子育てをされている方って、日常で笑顔になれる瞬間が少ないと思うんですよね。それよりも忙しかったり、必死で何かをやらなきゃいけなかったりして。この作品を1回見ただけで、3か月くらいはハッピーになれるんじゃないかなというくらいいい作品だと思います。それぐらい生の舞台には日常を変えてくれるエネルギーがあるので、ミュージカルを見たことがない方も、それをぜひ、自分の目で確かめに来ていただきたいと思います」ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』波乱に満ちたジョセフの人生を全編多彩なジャンルの音楽で綴るミュージカル。出演:薮宏太(Hey! Say! JUMP)、すみれ(Wキャスト)/シルビア・グラブ(Wキャスト)、小西遼生、小浦一優(芋洗坂係長)、内藤大希、元木湧(少年忍者/ジャニーズJr.)/村井國夫ほか。東京公演:4月7日~4月29日@日生劇場大阪公演:5月14日~5月18日@オリックス劇場【公式サイト】www.josephthemusical.jp/こにし・りょうせい1982年2月20日、東京都出身。37歳。A型。2003年、俳優デビュー。高い演技力で数多くのミュージカルで活躍。アーティストとして音楽活動もしている。6月に新作舞台『ある馬の物語』、10月に再演されるミュージカル『生きる』に出演(取材・文/井ノ口裕子)
2020年03月09日森新太郎が演出を手掛けた『メアリ・スチュアート』が1月27日に東京・世田谷パブリックシアターで開幕した。イングランドの正当な王位継承権をもつスコットランド女王メアリ・スチュアート。彼女の存在を恐れ、幽閉したイングランド女王エリザベス一世。二人の女王の対立と、彼女たちを取り巻く人々の人間ドラマを描いた本作。初日を終えた演出の森と出演者からコメントが到着した。◆森新太郎[演出]「役者はもちろん、劇場を含めスタッフ全員が私の粘りに根気強く付き合ってくれて、実は今日、幕が開く2時間前にやっとラストシーンがつくれたんです。今回の舞台セットは伽藍洞なむき出しの劇場、役者の熱量がほんの少しでも落ちたりすると、もう一瞬にして観るものがなくなってしまうとまで言えるような、綱渡りの芝居。初日の客席からは笑いが起こり、ほっとしましたね。物音ひとつ立てずに耳を傾けてくださる瞬間もちゃんとお客さんから頂くことができましたし、非常にいい状態で客席と舞台が一体となった初日だったと思います。自分の演出作品のなかでも、ここまでそぎ落としてお客さんの想像力に委ねるような芝居もなかなかないので、ぜひ観てもらいたいなと心底思っています」◆長谷川京子[メアリ・スチュアート役]「舞台はお客さんが入って完成するものなんだなって、今日すごく実感しました。客席の場所によってはお客さんととても距離が近いところまで踏み込んでいくので、自分の息づかいとかちょっとした目の動きとかまでも大事にしなきゃいけない。今回は熱量がすごく大事な舞台なので、その熱量を味わって欲しいなと思います。ステージに特に何か装飾があるわけでもないスタイリッシュなこの世界観の中で、ライブで人間が体でぶつかり合う、エネルギーのぶつかり合いみたいなものを見てもらいたいです」◆シルビア・グラブ[エリザベス女王役]「本番では思っていなかったところで客席から笑いがおきたり意外な反応があって、いろんな発見がありました。これからお客さんと一緒にもっとこの作品を育てていきたいと思います。古典劇で、200年前に書かれていて、題材的にもちょっと難しいのかなって思っている人達は多いかもしれないけど、誰でも楽しめる作品だと思います。気難しい気持ちじゃなく、フランクな気持ちで観に来てくれたらすごく嬉しい」共演は、レスター伯ロバート・ダドリーを吉田栄作、サー・エドワード・モーティマーを三浦涼介が演じるほか、総勢17名の出演者がスリリングで無常な人間ドラマを立ち上げる。公演は2月16日(日)まで世田谷パブリックシアターで上演。チケット発売中。
2020年01月29日『キャッツ』『オペラ座の怪人』などの作曲を手がけたブロードウェイの巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキング』などで日本でも広く知られている作詞家のティム・ライス。2人がまだ学生だった頃に、初めてタッグを組んで生みだしたミュージカルが『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』だ。主人公のジョセフに挑むのは、Hey! Say! JUMPの薮宏太。そして、すみれやシルビア・グラブ、小西遼生、小浦一優(芋洗坂係長)、村井國夫と、実力派役者陣が周りを固める。さらに薮の弟役を務める元木湧(少年忍者/ジャニーズJr.)を加え、制作発表が1月16日に行われた。【チケット情報はこちら】物語は旧約聖書『創世記』にある『ジョセフの物語』をベースに、ロック、シャンソン、カントリーなど多彩でエネルギッシュな楽曲に乗せて展開。観客を歌で導く“ナレーター”(すみれ/グラブのWキャスト)と共にストーリーは進んでゆく。12人兄弟の11番目で、父ジェイコブ(村井)に溺愛されているジョセフ(薮)は、他の兄弟に妬まれ、奴隷として売られてしまう。エジプトで暮らすことになるものの、持ち前の真面目さで主人のポティファー(小浦)に気に入られるジョセフ。だが彼の妻との仲を疑われたジョセフは、濡れ衣を着せられて牢獄へ。それでも“夢を読み解く”能力を持っていたジョセフの噂は、ついにエジプト王・ファラオ(小西)の耳にも入り……。数奇な運命をたどるジョセフ役の薮は、「日本人版としては初めての本格上演となる今回、ジョセフ役ができて光栄です。全編歌で綴られるので、説得力をもってお客様に伝えられたら」と気合い充分。5年ぶりのミュージカル出演となるすみれも「またステージに立たせていただけてうれしいですし、音楽も耳なじみがよくてハッピーなミュージカルなので、ぜひ皆様にも楽しんでほしいです」と笑顔で意気込みを。一方、意外にもロイド=ウェバー作品には初出演だというグラブは、「家族愛や、夢を抱くことがテーマになっている作品。それをポップスの要素と共に、エンタメ性高くお届けできるのが魅力ですね」と語った。時おり笑い声も聞かれる会見中、「色彩豊かな舞台になりそうなので、ファラオとして色を加えられるように」(小西)、「歌とダンスで盛り上がるなか、癒やしの存在になれれば」(小浦)、「本格ミュージカルは初めてなので、たくさん勉強したい」(元木)とそれぞれコメント。なかでも昨年末、軽度の心筋梗塞のため休養していた村井はこれが舞台復帰作。「毎日ウォーキングをして、もう元気です!でも私の“武器”はセリフですので、今回は歌だけなのが不安で……」と、ミュージカルでも名舞台を残してきた村井がわざとションボリし、キャストから笑いが漏れるひと幕も。最後は役同様、「薮くんのことはお気に入り」との発言も飛び出し、終始なごやかな会見となった。公演は4月7日(火)~29日(水・祝)東京・日生劇場、5月14日(木)~18日(月)大阪・オリックス劇場にて上演。ぴあにて電話抽選先行を受付中。取材・文/佐藤さくら
2020年01月17日ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』の製作発表が16日に都内で行われ、薮宏太(Hey! Say! JUMP)、すみれ、シルビア・グラブ、小西遼生、小浦一優(芋洗坂係長)、元木湧(少年忍者/ジャニーズJr.)、村井國夫、松竹 取締役 演劇副本部長 西村幸記、シーエイティープロデュース 代表取締役 江口剛史が登場した。同作は『キャッツ』や『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキン グ』などの作詞を手掛けたティム・ライスが、まだ学生時代だった頃に初めてタッグを組んで生み出した、両巨匠の原点ともいえる作品。旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、全編楽曲で綴られ、ロック、バラード、シャンソン、 カントリー、ロカビリーと多彩な音楽で彩られる。2019年12月に、軽度の心筋梗塞のため主演舞台『獣唄』、出演舞台『黄昏』の降板を発表していた村井。会見には元気な姿で現れ、12人の子供を持つジェイコブ役を演じることから「精力を持ってやっていきたいと思います」とジョークも飛ばす。主演で息子役の薮に対しては「かわいいですよね。僕、同じミュージカルをやったことあるんですよ。『シー・ラヴズ・ミー』の日本初演。密かに、いっしょの作品をやったことがあったなと思ってたんです」と嬉しそうにしたものの、初耳といった様子の薮に「知らないだろ? そういうの調べておかないと」とツッコミ。薮は「勉強不足で……」と恐縮する。また、今回小浦が2役やることについて、村井は「僕が見た時には、おやじ(ジェイコブ)が2つやってたんですよ。まわってくるかなと思ったんですけど、病み上がりなものですからひとつ」と苦笑。改めて心筋梗塞について聞かれると、「生きてます。自分でもびっくりしましたが、なんとか大丈夫だと思います。毎日ウォーキングを4~5kmくらいして、元気な日々を送ってます。2つ芝居を降りちゃいましたから、これは確実にやっていきたいと思っています」と気合い十分。「歌声には自信ないんですけどね……芝居はなんとかやっていけるんですけど、歌はちょっと不安です」と少し弱気な面も見えた。村井との共演について感想を聞かれた薮は「嬉しい限りです」と語ったものの、先ほどの件を引きずっていた村井は「知りもしないんですよ!」と手を伸ばして薮の手をぺしぺしと叩く。薮は「この期間を経て、千秋楽には一緒にお酒を……」と弁解するも、村井の「僕、一滴もお酒を飲まないんですよ」という言葉に、「ああ、申し訳ない……」と天を仰いでいた。
2020年01月16日ミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』の製作発表が16日に都内で行われ、薮宏太(Hey! Say! JUMP)、すみれ、シルビア・グラブ、小西遼生、小浦一優(芋洗坂係長)、元木湧(少年忍者/ジャニーズJr.)、村井國夫、松竹 取締役 演劇副本部長 西村幸記、シーエイティープロデュース 代表取締役 江口剛史が登場した。同作は『キャッツ』や『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキン グ』などの作詞を手掛けたティム・ライスが、まだ学生時代だった頃に初めてタッグを組んで生み出した、両巨匠の原点ともいえる作品。旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、全編楽曲で綴られ、ロック、バラード、シャンソン、 カントリー、ロカビリーと多彩な音楽で彩られる。日本人キャストで演じられるのは初ということで「本当に光栄に思っております」という薮は、「日生劇場もジャニーズJr.時代から立たせていただいて本当に思い入れの強い劇場ですし、ジョセフの人を思いやる気持ち、人に夢を与える力、人の痛みをわかるという部分を頑張って伝えられたら」と意気込む。ジョセフが仕えるエジプトのファラオを演じる小西は「ファラオを演じます、小西遼生です。これずっと言いたかったんです」と笑顔に。「王を演じるのはわくわくします。日本人でありながらファラオを演じるなんて」と役への期待を高めた。18歳の元木はマイクの音量が入ってないままにしゃべり始めてしまい、先輩の薮から「わざとだな」とからかわれつつ、「自分はジャニーズの方でいくつか舞台に出演させていただいたんですが、本格的なミュージカルに初めて出演させていただくんですけど、すごい緊張して、これから自分がどうなるのか、緊張と自分へのワクワク度が高まってすごい楽しみにしてます。色々と先輩がたの歌を見て学べたらいいと思っています」と心境を表す。それを受けて「私も本格的なミュージカルは初めて」とジョークを飛ばした村井は、「12人の子持ちの役なものですから、精力を持ってやっていきたいと思います」と会場を笑わせた。ロンドン・ウェストエンドへ同作を観にいったという薮は、「職業柄、客席にどういう人が来ているんだろうと見渡すことが多いんですけど、本当に年齢層が幅広くて。めかしこんだ大人がデートとかに使うのかなと思いきや、子連れの方だったり高校生のカップルだったり、幅広い年代の方がこの作品を愛しているということを感じました」と振り返る。「楽曲の力って、こんなに人の心を動かすんだという印象を受けました。作品を生で見たことによって、やる気が沸沸とみなぎってきました」と気合が入った様子。さらにロンドンでは移動にレンタル自転車を使っていたそうで、「(街中で)乗り捨てして新しい自転車を借りれるという手段が発達しているので、自転車に毎日乗って『東京じゃできないな』と感じていました」と、異国での体験を楽しんでいた。今回はポスター用の衣装で出てきたということだが、製作発表後の取材では「すごく裾があって、生まれて初めて、登壇する時に裾を介錯してもらった」と苦笑する薮。ウェディングドレスのようだという指摘に、「男性なんですけど、少し不思議な気持ち」と表し、「発表の時に『薮宏太降臨』と書いてあって、すごく恥ずかしかったんですけど、そういう気持ちで。降臨とまではいかないですけど、この日がやっときたなという気持ちで立っています」と思い入れを表す。また後輩で弟役の元木について、薮は「ちゃんとしゃべるのは初めて。年を聞いたら、言いたくないですけどひとまわり(離れている)。意外と僕も、この仕事やらせていただいてるんだな、後輩も増えてきてるという実感も湧きました」としみじみ。「爪が割れるんじゃないかなってくらいマイクを握ってた」という薮からの指摘に、元木は「緊張するとめちゃ握るくせがあって、手汗もすごくて、びっしょり。どうしよ……」と途方に暮れた様子で、薮は「心の声がすごく漏れてる」と微笑ましく見守っていた。薮について、元木が「信頼しています。話したことはほとんどないんですけど……」と語ると、周囲が「どうやって信頼!?」と総ツッコミとなるも、「色々と先輩方に、『薮くんは優しいからアドバイスもらいな』と聞きまして。Snow Manの佐久間(大介)くんに」と明かすと、薮は「あとで褒めておきます」とご満悦。「安心してできそう」と信頼を寄せる元木に、薮は「できる限りそのイメージを壊さないように」と語った。東京公演は日生劇場にて4月7日〜29日、大阪公演はオリックス劇場にて5月14日〜18日。
2020年01月16日女優の長谷川京子(41)が主演を務める舞台『メアリ・スチュアート』の制作発表が、12月10日に行われた。同舞台は20年1月27日~2月16日に都内で上演される。長谷川が舞台に立つのは、12年公演の『熱海殺人事件NEXT~くわえ煙草伝兵衛捜査日記』ぶりだ。本作は16世紀に政変によって国を追われたスコットランド女王・メアリ(長谷川)と、イングランド女王・エリザベス(シルビア・グラブ)の歴史的対立を描いた群像劇だ。各メディアによると、長谷川の「理屈抜きの美しさ」と「自分の生き方を貫ける強さ」が起用理由になったという。また長谷川は大役オファーの受諾をためらったというが、「山を越えないという選択肢はない」と役に挑む意気込みを見せた。10月には第36回「ベストジーニスト2019」で、「協議会選出部門」を受賞した長谷川。さらに11月26日に発売された写真集『Just as a flower』(宝島社)でも注目を集め、40代に入ってから目覚ましい活躍ぶりを見せている。そんな長谷川は、19年9月4日付の日刊スポーツでこのように語っていた。「40歳なんてまだまだ。技術もついて、ここからスタートできることもあると思う」また、プライベートでは2児の母親でもある長谷川。子育てと仕事に奮闘するも、11月23日に本誌で“心得”をこう明かしていた。「子どもの前で、自分の仕事を否定しないことを心がけています。プライドを持って仕事をしているということだけは見せるようにしてきました。『ママはお仕事で一緒にいられないときもあるけど、こんなに誇りを持って仕事をしてるんだよ』と、子どもたちに伝えたいんです」初主演で新たな経験を積み、今後の活躍にも期待できそうだ――。
2019年12月10日大泉洋が三谷幸喜とタッグを組むPARCO劇場オープニング・ラインナップ第3弾「大地」に、新たに山本耕史、竜星涼らの出演が決定。さらに続けて上演される三谷さんのライフワーク「ショーガール」、三谷文楽「其礼成心中」についても発表された。1994年「出口なし!」からPARCO劇場をホームグラウンドとして、新作を発表し続けている三谷さん。新生PARCO劇場ではオープニング・シリーズ“夏の陣”として3作品を3か月連続上演。「大地」は舞台、映画、ドラマで様々な俳優へ台詞を書き下ろしてきた三谷さんだからこそ描けるテーマであり、俳優への愛を込めて描く三谷流俳優論。大泉さんに加え、三谷幸喜の「俳優論」に挑むのは山本耕史、三谷作品では「おのれナポレオン」以来7年ぶりの舞台となる。さらに現在放送中のテレビドラマ「同期のサクラ」での好演をはじめ目覚ましい活躍を見せている竜星涼、三谷幸喜が出演を熱く願っていた辻萬長、小澤雄太、まりゑが初参加。オープニング・シリーズ第1弾「ピサロ」に続くPARCO劇場登場の栗原英雄、映画『記憶にございません!』で中井貴一演じる総理大臣の息子をナイーブに演じてみせた濱田龍臣、そして三谷作品に欠かせない藤井隆、相島一之、浅野和之が集結。新たな顔ぶれと“三谷組”が一堂に介する。また、旧PARCO劇場で17年間ロングランした「ショーガール」の故・福田陽一郎へ最大限のリスペクトを持ってDNAを受け継ぎ、2014年からスタートした「三谷幸喜のショーガール」。「いつか自分も福田さんのショーガールのような舞台を」という三谷さんの熱い思いが形になった本作は、新生PARCO劇場で三谷流「ちょっと小洒落た大人のコイバナ」ショーとして渋谷の大人の夜を彩る。第1部が大人のコイバナを三谷さんの書き下ろし脚本とともに荻野清子が作曲し、ちょっとこじゃれたショートミュージカルに、第2部は華やかなショータイム。誰もが聞いたことのあるポピュラーナンバーを、圧倒的な歌唱力を持つ川平慈英とシルビア・グラブが歌い上げる。そして文楽の伝統と技芸を忠実に踏襲し、三谷さんが文楽の魅力を彼の筆と演出で自由に創作した庶民の喜劇「其礼成心中」。「ワインをデキャンティングして美酒にするように僕があらたな器になります」と自ら宣言、三谷流デキャンティングで創作。2012年のPARCO劇場での初演以来、三谷作品として毎年どこかで上演されており、久々のPARCO劇場凱旋公演となる。PARCO劇場オープニング・シリーズ三谷幸喜 三作品三ヶ月公演「大地」は2020年6月20日(土)~8月8日(土)、「三谷幸喜のショーガール」は2020年7月16日(木)~8月7日(金)、三谷文楽「其礼成心中」は2020年8月13日(木)~8月20日(木)PARCO劇場などにて上演。(text:cinemacafe.net)
2019年12月10日全世界で1億冊以上が売れた大ベストセラー官能小説『50シェイズ・オブ・グレイ』をパロディにして作られたコメディミュージカル『50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』が11月15日より新宿FACEで開幕した。2016年に河原雅彦演出で日本初演された本作。今回は、さらに“過激”になり、3年ぶりの再演となった。【チケット情報はこちら】週に1度、「本を読む会」を開催している主婦3人組のパム(シルビア・グラブ)、ベブ(野口かおる)、キャロル(青木さやか)。マンネリ化した性生活を送る彼女たちは、刺激を求めて官能小説『50Shades of Grey』を読み始める。その小説で描かれているのは、若くて有能だがとんでもない性癖を持った青年実業家・グレイ(浜中文一)と、平凡に生きてきた純真無垢な女子大生・アナ(水崎綾女)の、どこまでも歪んだ愛のカタチ。アブノーマルな恋愛模様を繰り広げるふたりに、情熱的なアナの同級生・ホセ(福田転球)の存在も加わり、物語はどんどん熱く、激しく、ヒートアップして…。2014年にオフ・ブロードウェイで上演されるや否や、話題騒然となり、「大人の娯楽」を求めて男女問わず多くの観客が劇場に押し寄せた本作。海を越えることは不可能と思われた型破りな世界観の“エロティックコメディミュージカル”だったが、河原の演出により日本初演が実現。3年ぶりの再演は、初演よりも上演時間が20分も長くなり、東京・大阪・福岡と3都市で上演される。初演に引き続き主人公のグレイを演じる浜中は「皆さんに楽しんでいただけるのが1番いいなと思います。あとはやることをやるだけです」と意気込みを語る。舞台上では、ジャニーズのアイドルというイメージをいい意味で覆し、振り切った演技を見せた。「変態」だけれども、チャーミングさや弱さ、爽やかささえも感じる、浜中のグレイをぜひ目撃してほしい。演出を手がけた河原は再演にあたり、「エロくて楽しければいい。これで読売演劇大賞とれたらいいと思います。そんな世の中が来たらすごい。大人しくお勉強になる芝居もとても素敵だと思いますけども、こういう作品もあっていい。マイノリティーの叫びです。よろしくお願いします」と話していた。そのほか、水崎綾女、シルビア・グラブ、野口かおる、青木さやか、福田転球、レディビアード、カイル・カード、パイレーツオブマッチョビアンが出演。東京公演は11月24日(日)まで。大阪公演は11月29日(金)~12月1日(日)、Zepp Nambaにて。福岡公演は12月3日(火)、4日(水)、ももちパレスにて。チケット発売中。取材・文:五月女菜穂
2019年11月19日池田純矢が作・演出を手掛ける「エン*ゲキ」シリーズ第4弾『絶唱サロメ』が10月5日に東京・紀伊國屋ホールで開幕。開幕前に囲み取材とフォトコール(マスコミ撮影用シーン公開)が行われ、囲み取材には主演の松岡充、豊原江理佳、納谷健、小浦一優(芋洗坂係長)、吉田仁美、池田純矢、鈴木勝吾、シルビア・グラブが出席した。エン*ゲキ#04「絶唱サロメ」チケット情報オスカー・ワイルド作の戯曲『サロメ』を原案に、池田が“LIVE ENTERTAINMENT”として生み出した本作。開幕を前に池田は「自分が書いて、自分が演出しているのですが、もう自分の手からは遠く離れていて、自分自身が毎日感動に打ち震えています。観たことない、こんなのが観たかった!という作品です」と感慨深く語る。主演を務める松岡も「僕は彼(池田)をクリエイターとして尊敬しているので、一緒に新しい楽しいことができるんじゃないかという期待でこの作品に参加しました。彼は『ちょっと怖い…』って思うくらい(笑)、僕のことをすごくわかっていて。僕以上に『松岡充ってこういうところが魅力なんだよ、それをお芝居に当てはめたらこう表現できるんだよ』を計算している。だからあまり目を合わさないようにしています(笑)。俳優人生15年目にして、まだ見ぬところにチャレンジしたいです」と強い意気込みを語った。豊原は「最初に台本をいただいたときから、特別で大好きな作品です」、納谷は「稽古段階から目指す場所に果てがなかった分、初日を迎える不安はありますが、やってきた稽古を信じてがんばりたいです!」、小浦は「僕が演じる首切りナーマンはとにかく(松岡演じる)ヨカナーンをいたぶりつくす役です。お客様を恐怖のどん底におとしいれたいと思います!」、吉田は「劇場におさまりきれない思いを届けられたらと思って、ワクワクで爆発しそうです!」、鈴木は「この役とこの世界のリアリティの中で、お客様に届けられる芝居をできたら」、シルビアは「この劇場のサイズに皆さんがおさまるかが心配ですが(笑)、ぜひぜひ楽しみにしていてください!」とそれぞれコメントした。フォトコールではいくつかのシーンを抜粋して公開。松岡演じる預言者・ヨナカーンがもたらす不思議な力“ヴォイス”を巡るストーリーの中で、松岡をはじめ、豊原や鈴木、そして小浦も歌唱を披露する。和田俊輔が手掛ける音楽、芝居、そして美しい衣裳やセットも含め、本作ならではの『サロメ』。ぜひ劇場で堪能してほしい。エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』は、10月13日(日)まで東京・紀伊國屋ホール、10月26日(土)・27日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2019年10月07日エロティックコメディミュージカル『50Shades!(フィフティシェイズ!)~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』(演出:河原雅彦)が2019年11月から12月にかけて、東京、大阪、福岡の3都市で再演される。2016年に上演された日本初演版に引き続き、主人公のクリスチャン・グレイ役を演じる浜中文一と、今回が初のミュージカル出演で、ヒロインのアナ役を演じる水崎綾女に、舞台への意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、全世界で1億冊が売れた大ベストセラー官能小説「50Shades of Grey」のパロディ作品。若く有能だが心から人を愛せないサディストの青年実業家・グレイと、純真無垢な大学生・アナとの歪んだ愛の形を刺激的かつユーモアたっぷりの性描写で描く。再演について、浜中は「早く再演したいなと思っていたので、すごくうれしいです。キャストが全員集まらないのではないかと思っていたけど、みなさん出て下さってよかった。(自分以外は)新キャストでどういう感じになっていくのか、今から楽しみです」と素直に語る。初演時には演出の河原が「文ちゃん以外にこの役をやれる人がいるのかなと思うくらい。森光子さんの『放浪記』くらい文ちゃんが何回もやればいいのに」と褒めていたが、浜中は「そういう風に言ってもらえる役があるのはうれしいですね。でも、この役がはまっているのがいいことなのか、分からないですけど」と笑う。そして、「稽古場では河原さんからいろいろと“お題”が出されます。無茶振りに対応して頑張っていきたいと思います」と話した。今回が初参加となる水崎は「楽曲も良くて、面白い作品だったので、すぐにやりたいと思いました。再演なので、プレッシャーはありますが、楽しみです」と話す。“エロティックコメディ”で過激なシーンも多い舞台ゆえ「河原さんや浜中さんに“(出演して)本当に大丈夫?”と聞かれる」というが、「楽しみの方が勝っています」。そして、「初めてのミュージカルなので、しっかり歌が届けられたら。浜中さんのファンの方もたくさん見にこられると思うので、私が演じるアナに、ご自身を投影していていただいて、浜中さんにいろいろされている姿を想像してもらえるいい機会かなと思っています。ぜひ見に来てください」と意気込んでいた。東京公演は11月15日(金)から24日(日)、新宿FACE。大阪公演は11月29日(金)~12月1日(日)、Zepp Namba。福岡公演は12月3日(火)・4日(水)、ももちパレス。出演者は、浜中文一、水崎綾女、シルビア・グラブ、野口かおる、青木さやか、福田転球、レディビアード、カイル・カードほか。取材・文:五月女菜穂
2019年08月07日舞台『フローズン・ビーチ』の公開初日会見が31日に東京・シアタークリエで行われ、鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブが登場した。シアタークリエ連続上演シリーズ『KERA CROSS』の第1弾となる『フローズン・ビーチ』は、ケラリーノ・サンドロヴィッチが1998年に作・演出を担当し、劇団「ナイロン100℃」公演として新宿・紀伊國屋ホールで初演された。女性同士の心の機微を描く密室劇の傑作として第43回岸田國士戯曲賞を受賞したナイロン100℃の初期代表作とも言われている。大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランドにある別荘の一室で繰り広げる女たちの姿を描く。いつもと髪型&メイクが違うブルゾンは「そうなんです。女優やってます」と胸を張る。初舞台について「長い期間同じことを何回も練習したこともなかったし、セリフもこんなに長いことがなかったので、ふだんのブルゾンちえみとはキャラクターが違う。姿勢悪くなっちゃったりとか、太っちゃったりとか……それ(太るの)は関係ないけど、いい女感は、抜けてると思います」と明かした。ブルゾンの変化に、鈴木は「ありますあります。まず姿勢は変わっちゃいます」と同意し、シルビアも「高貴な役やってたら姿勢が良くなったり、逆に足元がだらしなくなったりとか、目つきが違うとか」と"女優あるある"という様子だった。女優・ブルゾンについて、鈴木は「最高です。演劇界で引っ張りだこになると思います」、花乃とシルビアも「チャーミング」と絶賛。鈴木が「繊細だし、でもエネルギーもあって、すごい素敵な女優さんだと思います」とさらに褒めると、共演者陣の言葉に「なにも出ねーぞ!」と牽制するブルゾン。また公演中に誕生日を迎えることから「祝ってもらおうなんて思ってないですけど、タイミングよく誕生日なんかはさんじゃって。新しい29歳の自分で、またパワーアップして舞台を迎えたい」と意気込む。誕生日プレゼントについては「もう買ってもらいました」というブルゾンは、鈴木が舞台で使う衣装のシャツを欲しがり、もらう予定だという。また「with B」の観劇予定について聞かれたブルゾンは、「それなんですよ! 今のとこ連絡きてないんですよ」と憤慨。花乃が「サプライズ」、鈴木が「誕生日じゃない?」と予想すると、ブルゾンは「そんなに気がきくやつらだと思ってます? これで来なかったらびっくりですよね」と苦笑する。「ノーwith B」とからかう鈴木だが、ブルゾンは「彼らの自主性に任せるため、様子見てます。一応やっぱ、私が頑張ってる姿は見とくべきだろって思ってますけどね」と語った。舞台『フローズン・ビーチ』は今後、7月31日~8月11日(8月5日は休演)に東京・シアタークリエ、8月16~18日に大阪・サンケイホールブリーゼ、8月21日に静岡・静岡市清水文化会館マリナート、8月23日に愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、8月28日に高知・須崎市立市民文化会館 大ホール、8月31日に高松・レグザムホール(香川県県民ホール)小ホールにてそれぞれ公演される。
2019年07月31日大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランドの別荘に集う女たちを描いた密室劇『フローズン・ビーチ』。’98年に初演され、岸田國士戯曲賞を受賞したケラリーノ・サンドロヴィッチさんの傑作、KERA CROSS 第一弾『フローズン・ビーチ』で、初舞台を踏むブルゾンちえみさん。友情と愛情と憎しみが絡み合う女たちの16年間の結末とは。「まだ稽古段階で本番も始まっていないのに、終わっちゃう時のことを考えると寂しくて仕方ないんです」それほどにいま充実している模様。「毎日がトライ&エラーの連続で、昨日できなかったことが今日できるようになっていたり、何かしらの経験値が上がっていたりする。私は性格的に、自分が止まっているんじゃないか、何も成長できていないんじゃないかって思うと、モゾモゾと焦ってしまうタイプなので、いまの自己肯定感を持てる環境が、すごく健全というか、ありがたいです」じつは演劇経験者のブルゾンさん。芸人を目指す前、大学中退直後、地元岡山の劇団に所属していたことが。「小中高大ずっとベーシックなレールの上を走ってきたのが、突然、エンターテインメントの世界に携わりたいと思って、最初に始めたのが演劇でした。その後に歌とダンス、そして芸人の勉強をして、いま再び演劇に出合えている。いろんなことに挑戦し続けてきたここまで、全部無駄じゃなかったのかなと思います」本作で演じるのは、鈴木杏さん演じる千津に崇拝に近い感情を抱く、エキセントリックな性格の市子。「最初は全然理解できなくて、冒頭からマックスなテンションの市子に自分をどう持っていくかすごく悩んだんです。でも、(演出の鈴木)裕美さんと話していたら、奇想天外だと思っていた行動が、千津を思うあまりのことなんだと腑に落ちて、市子を好意的に見られるようになりました。演出家ってすごいなって感動したりして」16年にわたる女たちの物語は、サスペンス的要素も加えながら複雑に絡み合い、予想外に展開していく。「性格的に嫌な部分がある人たちだけど、それが憎めない愛嬌になっていたりもするんです。この作品を観終わった後、コンプレックスがあったり、嫌な部分を持った自分を愛せるようになっている気がします」ブルゾンちえみ1990年8月3日生まれ。岡山県出身。2017年頃から、キャリアウーマンネタなどで数々の番組に出演し、人気を博す。近年はドラマ出演を果たすなど女優としても活動中。KERA CROSS 第一弾『フローズン・ビーチ』双子ながら、姉の萌(花乃)を疎ましく思っていた愛(花乃・二役)。ある日、愛の旧友の千津(鈴木)を崇拝する市子(ブルゾン)が、はずみで愛をベランダから突き落とし…。7月31日(水)~8月11日(日)日比谷・シアタークリエ作/ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出/鈴木裕美出演/鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ全席指定9000円(税込み)ほか東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777(9:30~17:30)7/25に新潟、7/28に福島公演あり。東京公演後、大阪、静岡、愛知、高知、高松公演も。※『anan』2019年7月24日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年07月19日7月12日に神奈川でプレビュー公演が開幕した、KERA CROSS第一弾『フローズン・ビーチ』。ケラリーノ・サンドロヴィッチが岸田戯曲賞を受賞した戯曲を、鈴木裕美が演出する。出演は、鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ。これから25日(木)に新潟公演のち、28日(日)に福島、31日(水)から東京・シアタークリエ、その後、大阪、静岡、愛知、高知、香川にて上演される。ひと足先に開幕したプレビュー公演では、その丁寧に手がけられた作品に大きな拍手が起こった。【チケット情報はこちら】物語が起こるのは、大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランド。1987年にはようやく電話がひかれたばかりだった島の、海の音が聞こえる別荘に、女性達が集まってくる。別荘の持ち主である資産家・梅蔵の娘、萌(花乃)は心臓が弱い。その双子の妹・愛(花乃/二役)を訪ねてきた親友の千津(鈴木)とその友人の市子(ブルゾン)。ふたりはバカンスに来ているようでもあるが、なにやら思惑があるようで……。軽快な会話に、客席からは笑い声があがる。一見コメディだが、女達それぞれが不穏な思いを抱えている。みんなでリビングにいる時にはニコニコ笑っていても、誰かと誰かがふたりきりになると実は……と隠されていた思いが垣間見え、まるで覗き見しているような気持ちになる。そこに、遠出をしていたはずの萌と愛の義理の母・咲恵(シルビア)が予定より早く帰ってきたことで、それぞれの思惑が予想外の方向へ走り出す。5人の女はどうなっていくのか。1987年、1995年、2003年と、彼女たちの8年毎の変化を、観客は追っていくことになる。舞台中央に、大きなバルコニーがある。そこから聞こえる波の音、そしてブルーと白を基調にしたこぎれいな部屋が、カリブの海を思わせる。美しく落ち着いた場所だからこそ、女達の情念がコントラストとなり際立つ。また、場面が変わるごとにスクリーンに映し出される絵本のようなイラストも、彼女達の滑稽さとコミカルさをつのらせる。生々しい感情を抱えた登場人物たちが、愛しいキャラクターに思えてくる。4人の女優のバラバラな個性が、鈴木の丁寧な演出のうえで互いにぶつかり合う。動きだしてしまった運命は止められない。憎んだり、愛したり、心配したり、救われたりしながら交差する女達の16年はとてもスリリングで愛しい。いろんな面を持つ彼女達を見て、人間って面白いなと思えてくる、不思議で魅力的な舞台だ。撮影:桜井隆幸
2019年07月17日7月中旬から全国ツアーがはじまる舞台『フローズン・ビーチ』。1998年に発表されたケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の脚本を、鈴木裕美が演出。愉快で訳ありな“5人の女”によるサスペンスコメディだ。その公開稽古が行われた。【チケット情報はこちら】公開されたのは<第一場>。1987年の夏、千津(鈴木杏)と親友の市子(ブルゾンちえみ)は、双子の姉妹・愛と萌(花乃まりあ二役)の父親の別荘に来ていた。そこに、愛と萌の盲目の継母・咲恵(シルビア・グラブ)が予定より早く旅行先から帰ってくる……。継母のせいで母が死んだと思っている愛は、咲恵に苛立ちをぶつける。しかし当人はあっけらかんと笑い、ワインを飲んでいる。盲目の役のため、シルビアは焦点を合わせず少しずれた方へ顔を向けて話すが、コミュニケーションを自然に感じさせる。険悪なふたりに挟まれ、気をつかう千津。演じる鈴木杏は大きな目をキョロキョロと動かし、いたたまれなさと困惑がとても伝わる。一方の市子は、超マイペースで楽しそうだ。初舞台というブルゾンだが、緊張感はありつつも、細部まで真剣に気を配っているのが感じられる。不穏な空気が漂う……。演出の鈴木裕美は「誰かが誰かを殺そうと思ったりもする」とサスペンスフルな雰囲気を煽りつつ、「救ったり救われたりもする不思議な本。まずは出演者4人が面白い」と強く推した。KERA作品に2度の出演がある鈴木杏は「ケラさんの脚本はやっぱり大変。楽しみながら苦しんで、稽古するほど深まる」と感想を語る。ブルゾンちえみの演じる市子は真逆で「(市子は)ちょっとわけがわからない。論理的でなく、本能で動いている。でもけっこう憎めないんじゃないかな?」と愛着が湧いてきたようす。花乃まりあは、性格の違う双子をどう演じるのが楽しみだ。急きょ代役として遅れて参戦したが、「温かく迎えていただいて感謝」と安心した表情を浮かべる。座組についてシルビアは「和気あいあいとして体育会系の集まりのノリ。ずっと笑っている稽古場」と紹介した。演出の鈴木は「面白くするためなら何でもやります!みたいな4人が集まった。すでにファンの多い作品だけど、やっと自分たちの『フローズン・ビーチ』になってきた」と手応えを感じているようだ。上演は7月12日(金)神奈川でのプレビュー公演を経て、新潟・福島・東京・大阪・静岡・愛知・高知・香川を8月末にかけてめぐる。取材・文・撮影:河野桃子
2019年07月08日女優のシルビア・グラブが、2日に都内で行われた舞台『フローズン・ビーチ』の稽古場公開に登場し、鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、鈴木裕美とともに取材に応じた。2005年に俳優の高嶋政宏と結婚し、おしどり夫婦としても知られるシルビア。6月26日に義父である高島忠夫さんが老衰で亡くなったことについて、「自分が子供の頃から見てた大大大スター。義理のお父さんでもありますが、業界での大先輩が1人いなくなったのはすごく寂しいことですし、当然家族としても寂しいところです」と心境を吐露する。「お顔を見たときにすごく穏やかな顔されてたので、『お疲れ様でした』と言いたいです」と様子を明かしたシルビアは、夫・政宏について聞かれると、「突然というわけではなかったので、心の準備はできてたのかなという様子でした」と説明する。義父との思い出について、シルビアは「初めて実家でご両親と会うときに、うつ病であまり人と会ってなかった時期なのに、パジャマから着替えて髪の毛をとかして私と会ってくれたらしいんです。家族の中で明るくなった瞬間があったのかなと思うと、すごく思い出深いです」と振り返る。「結婚式も来てくれたし、嬉しかったです。穏やかで朗らかで、なんでも受け止めてくれるようなお父さんでした」と故人を偲んだ。義理の母である寿美花代について聞かれると、「ずっと一緒にいたので、こちらも心配ですけど、大丈夫だと思います」ときっぱり。改めて「いろいろありがとうございました。そしてお疲れ様でした。I hope you have a wonderful after life.」とメッセージを送った。シアタークリエ連続上演シリーズ『KERA CROSS』の第1弾となる『フローズン・ビーチ』は、ケラリーノ・サンドロヴィッチが1998年に作・演出を担当し、劇団「ナイロン100℃」公演として新宿・紀伊國屋ホールで初演された。女性同士の心の機微を描く密室劇の傑作として第43回岸田國士戯曲賞を受賞したナイロン100℃の初期代表作とも言われている。大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランドにある別荘の一室で繰り広げる女たちの姿を描く。
2019年07月02日舞台『フローズン・ビーチ』の公開稽古が2日に都内で行われ、鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ、鈴木裕美が登場した。シアタークリエ連続上演シリーズ『KERA CROSS』の第1弾となる『フローズン・ビーチ』は、ケラリーノ・サンドロヴィッチが1998年に作・演出を担当し、劇団「ナイロン100℃」公演として新宿・紀伊國屋ホールで初演された。女性同士の心の機微を描く密室劇の傑作として第43回岸田國士戯曲賞を受賞したナイロン100℃の初期代表作とも言われている。大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランドにある別荘の一室で繰り広げる女たちの姿を描く。いつものメイクとの違いを指摘されたブルゾンは、「よく気づきました! ブルゾン感を残しつつ、ブルゾンでもいけないという」と苦労を明かし、本番では「これより薄くなるかもしれないけど、(稽古では)一応これくらいにしてみた」とメイクの塩梅について語る。さらに鈴木裕美は「稽古場にも、”ブルゾン”で来て、”ちえみ”で帰っていくときがある。仕事が終わってフルメイクでやってきて、すっぴんで帰っていくから、来たとき違う人」と笑い、鈴木杏は「こないだは、帰りの車の中でメイクを落としてた」と暴露した。舞台初挑戦となるブルゾンについて、鈴木杏は「なんとも言えない面白さがある。真剣にやってればやってるほど、面白すぎて破壊されちゃう。笑っちゃって稽古にならない瞬間があって、これをどうやって本番までに克服していけばいいのか」と課題を感じている様子。またブルゾンは、演出の鈴木裕美について「文字だけじゃ気づかないことがある。4人同時にガチャガチャやってることを読み解く、同時に大音量で演奏してるものの楽器を聞き分けてるというか」と驚きを表す。体調不良で降板となった朝倉あきの代役を務める花乃は、途中参加となったが「できるようになるまで絶対に続けてくださる方なので、正直に頑張りたいと思っています」と演出に感謝していた。「現在の点数は?」と聞かれたブルゾンは、「35億点……と言いたいところですけど、本番までに35億点になれるように頑張りたいです」と真剣に回答。周囲から「何点満点!?」とつっこまれていた。舞台『フローズン・ビーチ』は、7月12~14日(プレビュー公演)に神奈川・社のホールはしもと・ホール、7月25日に新潟・長岡市立劇場 大ホール、7月28日に福島・いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール、7月31日~8月11日(8月5日は休演)に東京・シアタークリエ、8月16~18日に大阪・サンケイホールブリーゼ、8月21日に静岡・静岡市清水文化会館マリナート、8月23日に愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、8月28日に高知・須崎市立市民文化会館 大ホール、8月31日に高松・レグザムホール(香川県県民ホール)小ホールにてそれぞれ公演される。
2019年07月02日「パルコ(PARCO)劇場」が、2020年3月13日(金)、渋谷パルコ内8階にオープン。長く愛されてきた「パルコ劇場」が生まれ変わる渋谷パルコ建替えに伴い、2016年夏一旦休館した「パルコ劇場」。旧パルコ劇場は、 2016年までの43年間でプロデュース公演の先駆けとして約1200作品を上演し、多くの顧客、クリエイター、そして俳優たちに愛されてきた。生まれ変わった新生「パルコ劇場」は、長きにわたって培ってきたスピリットを受け継ぎ、創造性を刺激する新たな空間へ。458席から636席に客席数を増やし、舞台空間も大きく拡張。 636席はすべてS席のプレミアムシアターとなる。オールS席のプレミアムシアターへテーマは、「人生が変わる瞬間に出逢おう。オールS席のプレミアムシアター。 」渋谷パルコの7階から9階にかけて開かれ、よりダイナミックな演出が可能になった。また、旧劇場の舞台と客席の距離感を継承した、舞台と観客が一体感のある空間も魅力。ワンスロープ・オールS席のプレミアムシアターを実現した。なお、こけら落し公演として、オープンに先駆けて2020年1月下旬から2月まで『志の輔らくご in PARCO』と『ラヴ・レターズ』が上演された。オープニングシリーズ14作品を上演グランドオープン以降の作品をオープニングシリーズとし、 2021年5月上旬まで14作品を上演する。「ピサロ」(主演:渡辺謙)2020年3月13日(金)から4月20日(月)まで、オープニングシリーズの1作目を飾るのは「ピサロ」。ピーター・シェーファーの壮大な歴史劇「ピサロ」は、1985年、旧パルコ劇場でテレンス・ナップ演出、山崎努主演で上演されていた。今回は、35年前、本戯曲でインカ王アタワルパを演じた渡辺謙がピサロ役を演じ、ウィル・タケットが演出を担当する。「佐渡島他吉の生涯」(主演:佐々木蔵之介)2020年5月に上演される「佐渡島他吉の生涯」は、織田作之助の小説「わが町」原作として1959年に初演された庶民の大河ドラマの傑作。明治、大正、昭和を生き抜いた庶民の大河ドラマを、俊英・森新太郎の演出で骨太に感動的に描く。名優・森繁久彌のあたり役・他吉は、佐々木蔵之介が務める。三谷幸喜 3作品連続公演2020年の6月からは、三谷幸喜作品を3作連続で公演。その第1作となるのが、大泉洋を主演に迎える「大地」。三谷流俳優論を説く。そして7月からは「三谷幸喜のショーガール」を公演。川平慈英やシルビア・グラブらが、パルコ劇場伝説のステージ、福田陽一郎の「ショーガール」のDNAを受け継いだ新しいステージを披露する。連続3作品、最後を飾るのは「其礼成心中」だ。舞台は元禄十六年の大阪。心中流行の曾根崎・天神の森を舞台に繰り広げられる三谷幸喜の笑いと涙に溢れた人情喜劇が綴られる。その後の作品も豪華出演者を迎えたラインナップ。■2020年9月「ゲルニカ」作:長田育恵演出:栗山民也■2020年10月「ねずみの三銃士 最新作(タイトル未定)」作:宮藤官九郎演出:河原雅彦出演:生瀬勝久、池田成志、古田新太 ほか■2020年11月 前川知大 作・演出作品作・演出:前川知大■2020年12月「チョコレートドーナツ」作:トラビス・ファイン脚本:谷賢一演出:宮本亞門■2021年1月「志の輔らくご in PARCO 2021」出演:立川志の輔■2021年1月「ラヴ・レターズ」作:A.R.ガーニー訳:青井陽治演出:藤田俊太郎■2021年2~3月「藪原検校」作:井上ひさし演出:杉原邦生出演:市川猿之助 ほか■2021年3~4月「レディ・マクベス(仮題)」作:ジュード・クリスチャン演出:ウィル・タケット出演:天海祐希 ほか■2021年4~5月 中井貴一 主演作品演出:G2出演:中井貴一 ほか【詳細】パルコ劇場開業日:2020年3月13日(金)住所:東京都渋谷区宇田川町15-1※渋谷パルコは2019年11月22日(金)にグランドオープン。■ピサロ払い戻しに関して公演は催行予定だが、会期中の全公演を対象に、体調への懸念等の理由により来場を控える人に向けてチケットの払い戻しを行う。<チケットぴあでの購入者>払戻受付期間:3月16日(月)10:00~4月30日(木)23:59※チケットぴあ店舗にて引取りの場合、営業時間は店舗により異なる。※公式URLより払戻方法を確認。問い合わせ先:チケットぴあ 0570-02-9111(オペレーター対応 10:00~18:00)<ローソンチケットでの購入者>払戻受付期間:3月16日(月)10:00~4月30日(木)23:59※公式URLより払戻方法を確認。問い合わせきさ:ローソンチケット 0570-00-0777(10:00~18:00)<イープラスでの購入者>払戻受付期間:3月16日(月)10:00~4月30日(木)23:59※公式URLより払戻方法を確認。問い合わせ先:イープラスお客様サポート <パルステ!チケットでの購入者>・コンビニ引取の場合:チケットぴあの案内を確認。・スマホ引取の場合:チケットぴあ払戻受付期間内に「information2@pia.co.jp」までメールタイトルを「パルステ!スマホチケット『ピサロ』払い戻し希望」とし、本文に(1)ご購入者氏名、(2)チケット引換番号、(3)公演日時、(4)座席番号、(5)払い戻し金の「郵便振替払出証書」を郵送する先の希望住所・電話番号を明記のうえ連絡。※記載内容に不備・確認事項がある場合、電話にて確認する場合あり。<出演者ファンクラブでの購入者>各ファンクラブへ問い合わせ。宮沢氷魚先行受付の人は、チケットぴあの案内を参照。<上記プレイガイド等以外の販売所(カード会社・生協など)での購入者>購入元へ問い合わせの上、払戻しの詳細を確認。
2019年06月21日歌手で俳優の松岡充が主演する舞台『絶唱サロメ』(10月、東京・紀伊國屋ホールと大阪・サンケイホールブリーゼで上演)のキービジュアルと配役が16日、公開された。俳優の池田純矢が自ら劇作・演出を担い、2015年に立ち上げた『エン*ゲキ』シリーズの第4弾となる今作。松岡は、王女サロメと関係を持つヨカナーンを演じる。また、ヨカナーンとの出会いによって運命が大きく動き出す王女・サロメ役に豊原江理佳、地下牢の門番を務めている若い兵士・ナラボート役に納谷健、国王直属の拷問処刑人・首切りナーマン役に小浦一優(芋洗坂係長)、王妃の側女・ラバン役に吉田仁美、サロメの義父でユダヤの王であるヘロデ役に鈴木勝吾、色欲にぬれた王妃・へロディア役にシルビア・グラブ、そして、ヨカナーンに付き従う謎の男・ガブリエルを池田が演じる。池田は「『絶唱サロメ』各分野のトップクリエイターであるスタッフ陣に力を借り、そしてキャストの皆さんに、さらに深化して頂き、自分の想像を超える素晴らしいビジュアルが仕上がりました。今作のビジュアルで目指したのは、サロメの世界観が持つ妖艶さと耽美さの中に、エン*ゲキシリーズならではのエンタテインメント性を融合させること。狙い通り、視覚的な面ひとつをとってもワクワクした気持ちを彷彿とさせるイメージに、自分自身興奮の坩堝でございます」とコメント。また、「撮影では終始『スゲー!』『ヤベー!』と語彙力を失うほど驚いてしまいました。ファインダー越しに観るキャラクターたちの一挙手一投足は、まるで光を纏うように美しく、本番での演出プランの大きな兆しとなりました。ついにヴェールを脱ぐ『絶唱サロメ』の全貌。どうぞご期待くださいませ!」と呼びかけている。
2019年06月16日ナンセンス・コメディをベースに、多様な作品を世に送り出してきた劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。近年は『グッドバイ』『百年の秘密』など、現代文学ともいうべき厚みのある作品群も続々と発表、高い評価を得ている。そんなKERAが、1998年に主宰する劇団ナイロン100℃で上演し、第43回岸田國士戯曲賞を受賞した作品が『フローズン・ビーチ』だ。今回の再演は、シアタークリエ連続上演シリーズ「KERA CROSS」の第1弾。KERAと、演出を担当する鈴木裕美、そして出演者の鈴木杏、ブルゾンちえみ、朝倉あき、シルビア・グラブがそろった制作発表に足を運んだ。【チケット情報はこちら】物語は海外のリゾート地で展開。バカンスにやってきた千津(鈴木)と友人の市子(ブルゾン)は、島を開発している資産家の娘・愛(朝倉)の別荘を訪ねる。そこへ愛の父と、後妻の咲恵(グラブ)が旅行から帰宅。咲恵を憎む愛は、父の愛を独占する病弱な妹・萌(朝倉の2役)のことも気に入らない。そんななか、市子がはずみで愛をベランダから突き落としてしまう……。8年後、再び同じ別荘に集まった4人は、ある衝撃の事実を目の当たりにする。人物像を丁寧に描くことに定評のある鈴木裕美は、「(女優陣は)剛の者がそろっていて、絶妙な取り合わせ。一緒にKERAさんの世界に冒険できれば」と期待する。一方、映画・舞台ともに多くの賞を受賞している鈴木杏にとっても、ナイロン100℃の手練の女優陣が演じ、伝説となった本作は大きな挑戦のようだ。「読めば読むほど途方に暮れています(笑)。稽古場でとことん苦しんで、楽しんで、私たちの新しい『フローズン・ビーチ』をお届けしたい」と語った。これが初舞台で、鈴木裕美から「かなりの演劇少女で驚いた」と明かされたブルゾンは、「KERAさんの作品で、裕美さんの演出でと、本当に私でよかったんだろうかと思ってしまうのですが、今はもう100%の力でぶつかるしかないという気持ち。再演を楽しみにしている方たちの期待に応えたいです」と高揚した表情を見せた。また朝倉は、「私も作品に、共演の皆さんに立ち向かわなければと緊張していましたが、本読みを経て、自分に何が出来るのか見つけていきたいという気持ちに。今はとてもワクワクしています」と頼もしい発言。そして意外にもKERA作品初参加となるグラブは、「今回は(得意の)歌……ない、と(笑)。焦りしかないのですが、この年でこういう機会を与えていただくのは幸せなこと。なにより女性だけの4人芝居は最近では珍しいので、世の女性たち、ぜひ楽しみにしていてください!」と力強く語った。サブカルチャーの出自をもつKERAの作品が、日比谷の真ん中に位置するシアタークリエで上演されるのも今回が初めて。KERA は「信頼できる方とだったら、いつでもやります(笑)。今回は初演から21年経って、当時の“未来”が今ではどう映るのか、僕自身楽しみにしています」と言う。動き出した「KERA CROSS」に、今後も注目だ。7月12日(金)神奈川公演を皮切りに全国を巡演。取材・文/佐藤さくら
2019年05月15日7月25日(プレビュー公演は7月12~14日)より公演される舞台『フローズン・ビーチ』の制作発表が13日、東京・日比谷シアタークリエで行われ、鈴木杏、ブルゾンちえみ、朝倉あき、シルビア・グラブ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、鈴木裕美が出席した。シアタークリエ連続上演シリーズ『KERA CROSS』の第1弾となる『フローズン・ビーチ』は、ケラリーノ・サンドロヴィッチが1998年に作・演出を担当し、劇団「ナイロン100℃」公演として新宿・紀伊國屋ホールで初演された舞台。女性同士の心の機微を描く密室劇の傑作として第43回岸田國士戯曲賞を受賞したナイロン100℃の初期代表作とも言われている。その傑作が、人間群像を深く描き切る人気演出家・鈴木裕美の演出によって再演。大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランドにある別荘の一室で繰り広げる女たちの姿を描く。この日まで何日かにわたり本読みを重ね、数日前に配役が決まったというキャスト陣。千津役の鈴木杏は「まさか自分が『フローズン・ビーチ』の世界に入る日が来るなんて思ってもいなかったのですごく不思議な気持ちです。オリジナルキャストの女優さんの皆さんを尊敬してやまないので、すごく光栄であるのと同時に大きな挑戦だと思っています」と話し、「台本を読めば読むほど途方に暮れてしまって、泣き出してしまいそうなので、この作品でしか出会えないキャストの皆さんととことん苦しんでとことん楽しみ、私たちの見える新しい『フローズン・ビーチ』の景色を探したいと思っています」と意欲を見せた。本作で初舞台となるブルゾンちえみは、市子を演じる。「お話を聞いてシンプルにうれしくてワクワクしたのが一番最初でしたが、いろんな事を知れば知るほど『私で良かったのかな?』と思いました。生まれたての赤ちゃんに高級料理を食べさせるような有り難みが分かるのかという状況で贅沢だと思っています」と恐縮しきりだったが、「逆に知らない分、100%何も知らない状態でぶつかって行こうという気持ちなので、しがみついていきます。本当に頑張るしかないという感じですね」と意気込んだ。劇中ではブルゾンちえみ扮する市子に振り回される千津役の鈴木は、ブルゾンちえみの印象について「この人に頼って行こうと思えるぐらい頼りがいのある方なんです。どっしりと構えてくださる方で、鈴木裕美さんに怒られたらブルゾンさんの後ろに隠れようと思っています」と話し、朝倉も「本当にすごく素敵で可愛いんです」と称賛。するとブルゾンは「皆さんブルゾン推しで(笑)」と照れ笑いを浮かべながら「本当にネタの方で持ってきた刀で戦うしかないですね」と決意をにじませると、鈴木は「その強さってありますよね。1人で見られる、with bも含めて3人で見られる経験があれば、舞台でも全然大丈夫だと思いますよ」と太鼓判を押していた。舞台『フローズン・ビーチ』は、7月12~14日(プレビュー公演)に神奈川・社のホールはしもと・ホール、7月25日に新潟・長岡市立劇場 大ホール、7月28日に福島・いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール、7月31日~8月11日(8月5日は休演)に東京・シアタークリエ、8月16~18日に大阪・サンケイホールブリーゼ、8月21日に静岡・静岡市清水文化会館マリナート、8月23日に愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、8月28日に高知・須崎市立市民文化会館 大ホール、8月31日に高松・レグザムホール(香川県県民ホール)小ホールにてそれぞれ公演される。
2019年05月14日役者、ダンサー、振付師、演出家などパワフルな存在感で一目置かれる各分野の“ツワモノ”たちが集う、結成12年目のパフォーマンス集団junkiesista(ジャンキーシスタ)&junkiebros.(ジャンキーブロス)。2014年、好評を博したサスペンスフルなお葬式コメディ・ミュージカル『REizeNT~霊前って...~』で初の大阪公演を飾る。主宰の林希とは唯一無二の親友で、結成当初から歌唱指導としてカンパニーに関わるシルビア・グラブが、今作では客演として参加する。「最高にくだらなくて面白い、壮大なコントです。笑わずに歌えるかな…」と真顔で悩むシルビアに、意気込みを聞いた。junkiesista×junkiebros.PRESENTS「REizeNT~霊前って...~」チケット情報ある日、大富豪の女社長が殺された。犯人不明のまま執り行われたお葬式では家族、参列者、葬儀屋、住職に至るまで、全員が怪しい。疑心暗鬼の末、事態は思わぬ展開に…。「メンバーは、枠に収まりきらない爆発的なエネルギーを持った人たちばかり。あえて重い題材でコメディに挑むとか、『こんなミュージカル観たことない!』と思わせるのが狙い」とシルビア。これまで暴走族、キャバクラ、ゾンビなど作品の切り口も斬新だが、特筆すべきは毎回全曲が有名ブロードウェイ・ミュージカルのパロディだという点。今回も超人気作の曲をお経調にアレンジするなど、替え歌を多彩にスタンバイ。韓流ダンスボーカルユニットH5のリーダーHONEYら複数の“歌ウマ客演陣”を迎えたことで、初演より曲数を増量してお届けする。しかも、本編終わりにはショータイムが付くのも恒例で、ダンスファン、演劇ファン共に爆笑と感動を味わえる、一粒で2度美味しい公演となっている。林希とは20代の頃、玉野和紀作・演出・振付のミュージカル『THE GUEST SHOW』(1999年)で初対面し、「肝臓の強さが一緒で意気投合した」と笑うシルビア。後に『CULB SEVEN』の名物となる「50音順ヒットメドレー」が初登場した公演でもあったという。「希とは、稽古終わりに毎日呑んで、お酒をガソリンに換えていました(笑)」。同世代で尊敬し合える仲間と出会い、同じく共演者だった岡千絵と3人で結成した音楽ユニットgravityの活動は、今年で14年目を迎える。「希は、面白いことをやろうぜとみんなを惹き付ける原動力を持っている人。惹かれるという意味でgravityと名付けたんですけど。ジャンキーも小規模ながらムーチョ村松さんが映像、PaniCrew植木豪さんがグッズデザインを担うなど、スタッフ陣もすごい顔ぶれが揃っています。みんな気持ち優先で集まってる部分が大きいので、ケンカもするけど楽しくて。いまだに青春しています」。大阪ではあえてお堂のある小劇場を選んだ。「初めての劇場に私もワクワクしています。絶対後悔させませんので、ぜひ笑いに来てください!」東京公演は5月24日(金)から6月2日(日)まで中目黒キンケロ・シアターにて、大阪公演は6月8日(土)・9日(日)一心寺シアター倶楽にて上演。大阪公演のチケットは、チケットぴあにて発売中。取材・文:石橋法子
2019年04月25日歌手で俳優の松岡充が主演する舞台『絶唱サロメ』が、10月に東京・紀伊國屋ホールと大阪・サンケイホールブリーゼで上演されることが29日、明らかになった。この舞台は、フジテレビ系月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』第1話の犯人役でインパクトを残した俳優・池田純矢が劇作・演出を担い、2015年に立ち上げた『エン*ゲキ』シリーズの第4弾。1893年にオスカー・ワイルドによって書かれた戯曲「サロメ」に着想を得て、「歌をちゃんと歌として歌う、これまでにない演劇と音楽の融合を考えています」(池田)という。300人によるオーディションからキャストに抜てきされたのは、ミュージカル『アニー』で主演・アニー役を演じた豊原江理佳。さらに、舞台『刀剣乱舞』シリーズをはじめ、『七つの大罪』など数々の舞台で主演を務める注目の若手俳優・納谷健。俳優でありながら、『R-1ぐらんぷり2008』準優勝、ダンサーとしても活躍する小浦一優(芋洗坂係長)。声優・女優・アーティストとしても活躍する吉田仁美。池田とは今作で通算12作目の共演となる鈴木勝吾。ミュージカル界を牽引するシルビア・グラブという俳優・女優陣を迎える。松岡は、池田について「クリエイターとしてもプロデューサーとしても面白いアイデアを持って実行していることがわかり、『いくつ顔を持ってんねん!』と興味が湧いてきて。彼の魅力に惹きつけられていたところ、今回のオファーを頂いたので、タイミング的にも口説かれ方においても、『やります』と言うしかない状態でした(笑)」と告白。「純矢がやろうとしていることは、ある意味パンク。面白くなるはずです!」と目を輝かせながら、期待を示した。その池田は「松岡さんと出会って以来、どうしてもこの人を主人公に作品を描きたいと思っていました。なぜなら、歌も芝居もビジュアルも性格も、どうしようもなく人を惹き付けるパワーがあって、こんな“この世のものじゃない感”のある魅力を持った人は他にはいないと思うからです。そこで僕は勝手に企画を立て、台本を書き、劇場を押さえ、松岡さんにオファーをしました」と経緯を紹介。「この戯曲の古典ならではの言葉の美しさは、音楽の歌詞にも似ている。これも松岡さんの歌の魅力を存分に活かせると思いました」と『サロメ』を題材にした理由を説明している。公演は、東京・紀伊国屋ホールが10月5~13日。大阪・サンケイホールブリーゼが10月下旬。チケット一般発売は7月を予定している。
2019年01月29日三谷幸喜が作・演出を手掛けたミュージカル『日本の歴史』が4日、東京・世田谷パブリックシアターにて開幕し、中井貴一、香取慎吾ら出演者がコメントを寄せた。卑弥呼の時代から太平洋戦争までの1700年に渡る物語をミュージカルで描く『日本の歴史』。1700年の物語に登場する人物は、歴史上の偉人から名もない人々も含め50人以上。それを7人のキャスト、中井貴一、香取慎吾、新納慎也、川平慈英、シルビア・グラブ、宮澤エマ、秋元才加だけで、ミュージカルで表現する。音楽は、三谷作品には欠かせない作曲家・荻野清子がオリジナル楽曲を創り上げた。三谷幸喜、中井貴一、香取慎吾、シルビア・グラブのコメントは以下の通り。■作・演出:三谷幸喜誰も観たことのないミュージカルが完成しました。荻野清子さんの独創的な音楽に加えて、女装で踊る中井貴一、香取慎吾のエロ坊主、シルビア・グラブの織田信長、親子三代全員川平慈英。一体誰が想像したでしょうか。でも中身は至って真面目です。■出演:中井貴一三谷さんからのお話は二つ返事で受けてきたものの、まさかミュージカルだったなんて(笑)。僕が最近掲げている目標が、前に進むために「この年齢でいかに恥をかくか」なのですが、歌も踊りも初めてのことばかりで必死です。でも、それを素直に新鮮に受け止めている自分がいて刺激的な毎日です。とにかく、この壮大なスト―リーが素晴らしい!皆さんには、「日本の歴史」という言葉にこだわらず、この物語に身を委ねてご覧いただきたいですね。■出演:香取慎吾三谷さんとご一緒するのは3年前の映画以来。久々で本当にうれしかったのですが、こういうミュージカルは思いつかないでほしかったです(笑)。歌と踊りはもちろん、7名だけで歴史上の人物からその他大勢までいろんなことをやっています! でも、この物語は、途中の可笑しな場面が最後の切なさにつながったり、あとから刃のように鋭く突き刺さってきます。こういうことを考える三谷さんは、詐欺師かマジシャンか?と思いますね(笑)。■出演:シルビア・グラブ台本を読んだだけでは全く想像がつかなかった世界が、どんどん深くドラマチックになっていって、「人間の物語」として感動的です! とても、考えさせられる作品になったと思います。本当にめまぐるしく色んな人物を演じるので全員必死で稽古をしてきましたが、稽古現場に作家の三谷さんと作曲家の荻野清子さんがいて、皆で一緒に創り上げることができたことは、とても贅沢なことだと感じています。全く歴史を知らない人も楽しめる舞台です!ミュージカル『日本の歴史』は、12月4日~28日に世田谷パブリックシアターにて東京公演、2019年1月6日~13日に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて大阪公演を行う。写真提供:シス・カンパニー
2018年12月04日川平慈英撮影/佐藤靖彦あの三谷幸喜さんが、またもや仕掛ける。完全オリジナルのミュージカルを手がけるのだが、ただの和製ミュージカルで終わりそうもないのだ。なんとタイトルは『日本の歴史』。卑弥呼の時代から太平洋戦争まで、実に1700年にわたる物語をぎゅっと2時間半にまとめて歌と踊りで紡ぎ、精鋭キャストの7人が50以上の役を演じるという。■できるんです、やっていいんです!そんなこと、できるんでしょうか、川平慈英さん?「できるんです!なぜならミュージカルだから、って三谷さんもおっしゃってます。これちょっと川平慈英調ですよね。“できるんです、やっていいんです!”(笑)。僕自身のことでいえば、中学・高校時代は日本史に対して拒絶反応がありました。もともと歴史に興味がない。過去をどんどん捨てていく男なので(笑)。でもね、歴史に精通していなくても、この物語は面白いんです。歴史の話というより、人間の話ですから。歴史上の事柄がどーんと舞台上から押し寄せてくるんだけど、人間の生きざまとかドロドロとした感情、結局は人間って同じことを繰り返しているんだな、というドラマが繰り広げられるんです。そこに、三谷さんならではの伏線がちりばめられていて、それが最後にどうなるか?乞うご期待です」■ムムッ?三谷さんとはやはりオリジナルのミュージカルだった『オケピ!』で初タッグを組んで以来、ニューヨークで初演の幕を開けた『Talk Like Singing』、『ショーガール』などで厚い信頼関係を築いている川平さん。それでも今回はとにかく、驚くことが多いのだそう。「最初に台本を読んだときは“ムムッ?これ、いったいどんなエンターテイメントになるんだろう?”って思ったんですよ。“三谷さん、いままでにない引き出しを開けてきたんじゃないかな”と。僕らの知っている三谷さんといえば、危機的状況に陥った人々がどんどん追い込まれていくシチュエーション・コメディーでしょ?でも今回は、そういうドストライク・ゾーンじゃない。でもこれが、稽古場でどんどん面白くなっています」川平さんは、約10もの人物を演じることになる。「10役というのは時代も老若男女も問わず、変身、ワープしますよ。“僕がこれやるの?(笑)”という役までね。それは全員同じ。あえて予想を裏切るくすぐり方をしてきます。“(中井)貴一さん、これやっていいのかなぁ?”とか。もう僕ら7人、いったん始まったら楽屋へは戻れません。着替えているか、舞台上にいるか。見ている人は驚くでしょうけど、出ているほうも“え?今ここにいる僕が、このタイミングであそこから出る!?無理でしょ!!”みたいな(笑)。僕がふたりいないと無理だから、出てくるのは博多華丸だったりして(笑)。それくらいマジカルな、デヴィッド・カッパーフィールド的なことをやるようですよ」川平さんは今回「歌以上に、芝居を求められている」という。「この作品でいちばんの目玉は、貴一さんが初ミュージカルで新たな魅力爆発、という点だと思うんです。その貴一さんと僕、ふたりっきりでいいシーンがあるんですよ。日本史の中のある時代なんですけど、貴一さんは翻弄(ほんろう)されるほうなんです。僕がたぶん、劇場内でいちばん楽しんでいるんじゃないかな、お客さんを差し置いて(笑)」■僕のピッチでありフィールドいままでにないミュージカルを作ろうという現場には「生みの苦しみと楽しさ」がいっぱいだ。「“相当、実験的なことをやってるな”という実感はありますね。だから薄氷の上を歩くような怖さもあるんです。“これ本当にウケるのかなぁ”って。でも、三谷さんは永遠の演劇アイデア少年だから、僕らの稽古を見て、突然いろいろぶっ込んできています。目をキラキラさせて“ジェイさんそこ、こうやってみて” “えっ!?”みたいなね。誰にも言わずにやらせるから、みんな“えっ!”ってなる(笑)。幕が開いたときにどうなっているのか、まったくわからない。だからこそ楽しさが格別なんですよ。顔合わせの日に、音楽の荻野清子さんが言ったんです。“このミュージカルが新しい日本の歴史になればいいな”って。僕が“清子ちゃん、ナイスなコメント、そうとう家で考えてきたな”って言ったら、“そんなこと言うな”ってみんなに怒られましたけど(笑)。日本ミュージカル史の、エポックメーキングにしなきゃいけないと思ってます」この作品が、106本目の舞台作品になるという川平さん。「俳優・川平慈英の歴史にも深く刻んでいかないとね」と意気込む。「テレビの影響は大きいから、僕をサッカーの人とかタレントって認識している人も多いと思います。でも最後は俳優として、日本演劇史の1ページに川平慈英という名前を刻みたいんです。僕にとってミュージカルは、なくてはならない元気の源。いちばんの喜びを感じるし、お客さんとの交流ができる。僕が僕であることをいちばん実証できる、最高のツール。僕のピッチでありフィールドなんです。だから今回も、そこでめいっぱい輝きたい。そして70歳か80歳になったとき“この作品で歴史を作ったね”なんて、仲間たちと同じ老人ホームで、お茶をすすりながら語れたらいいなぁ」■ミュージカル『日本の歴史』演劇界および映画界の奇才と呼ばれる脚本家・演出家の三谷幸喜が、古代から太平洋戦争までの1700年を舞台に紡ぐオリジナル・ミュージカル。この作品で中井貴一が初めてミュージカルに挑戦!そのほか、香取慎吾、川平慈英、シルビア・グラブ、新納慎也、秋元才加、宮澤エマという最強の7人が50人以上の人物に扮し、ミュージカルの常識を覆す!?12月4日~28日 世田谷パブリックシアターにて、2019年1月6日~13日 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。当日券あり。公式サイト かびら・じえい●1962年9月23日、沖縄県生まれ。大学在学中にミュージカルで俳優デビュー。歌・ダンス・芝居と三拍子そろった実力で舞台を中心に活躍しながら、サッカーキャスターとしても人気者に。出演作に舞台『雨に唄えば』『Shoes On!』シリーズ、『オケピ!』『趣味の部屋』など。テレビ『ちりとてちん』『表参道高校合唱部!』『コレナンデ商会』など。映画『THE 有頂天ホテル』『手をつないでかえろうよ』など。来年11月には’17年に大好評を博した主演ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が再演予定。(取材・文/若林ゆり)
2018年11月24日