しかし東響は、深みのあるmfやmpで、見事に歌手と対峙することができる。そこから生まれる、音量ではないパワーをを楽しんでいただけると確信している」
題名役のトリスタンにブライアン・レジスター(テノール)、イゾルデにリサ・リンドストローム(ソプラノ)という、ワーグナー歌手として注目を集めるふたりを招聘する。演出がカウンターテナーの彌勒忠史というのも注目ポイント。
声楽ファンには、2020年4月のウォルトン《ベルシャザールの饗宴》も見逃せない。合唱はノットが「この合唱に自信がある」と信頼を寄せる東響コーラス。日英交流年(UK in JAPAN 2019?2020)のスペシャル・プログラムで、十八番の英国音楽に、いまや日本を代表する藤倉大を組み合わせた。藤倉は英国在住。ノットとも周知の友人だ。
同じ4月には、継続中のベートーヴェン交響曲シリーズが完結する。交響曲第2番にストラヴィンスキー《カルタ遊び》と、酒井健治のヴァイオリン協奏曲(独奏=辻彩奈)を組み合わせたプログラムも、ノットの面目躍如。邦人作曲家でいえば、ノットが矢代秋雄のピアノ協奏曲(独奏=小菅優)を振るのは実にうれしい(2020年11月/ブルックナーの交響曲第6番と)。