2020年1月10日 17:45
切なくて、愛しい……女と男の愛憎をえぐる、小沢道成ひとり芝居開幕
舞台上にいるのは小沢ひとりだからこそ強く感情移入してしまう。
この女性像が魅力的で、慌てんぼうだったり、好きな男に辛らつにツッコんだり……小沢の反応と間合いが絶妙で大いに笑える。また、時に男側を演じ分けることもあり、エンターテイナーとしての小沢をたっぷり堪能できる。
なにより強い存在感が、こだわった舞台美術。壁一面のアクリルは黒くて無機質だが、だからこそそこにいる人を引き立て、想像力をかきたてる。しかも様々な仕掛けが隠されていて、贅沢な舞台転換に驚かされる!
物語に動きをつくる衣裳と照明が、怒濤の後半を盛り上げていく。『鶴の恩返し』とリンクしていたはずの物語は、都会の片隅に生きる女と男の孤独や幸せを浮き立たせまったく違う印象を与える1作に仕上がっていた。
2014年の初演では女に焦点をあて、2016年の再演では2人の関係をより具体的にした。
今回はさらに変化し、過去作を観た人にもきっと新鮮な驚きがあるだろう。ひとりの俳優がひとつの作品を何度も丁寧に手がけるからこそ、再演のたびに生まれ変わり届く。演劇の情熱と可能性と遊びの詰まった舞台だ。
公演は13日(月・祝)まで。2月10日~16日には横浜で『Maybe a Crane ~鶴かもしれない~』を上演。
取材・文・撮影:河野桃子
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