くらし情報『彩吹真央ら女優たちの個性と戯曲の良さをシンプルに活かした『楽屋』が誕生』

2021年6月11日 14:00

彩吹真央ら女優たちの個性と戯曲の良さをシンプルに活かした『楽屋』が誕生

女優Cを演じるのは彩吹。美しい舞台姿で、ヒロインを演じている女優らしい華やかさ。元宝塚スターの彩吹ならではの説得力だ。ただどこか生真面目そうに見えるのは彩吹本人の個性か。A、Bよりはるかに恵まれた環境であるはずなのに、女優業に必死にしがみついているように見えるのが面白い。噛みしめるように語る長い独白も圧巻だった。Cに役を譲れと迫る若手女優Dは木村。枕を腕に抱え、腹の底の読めない不気味さをおっとりとした口調で上手く醸し出す一方、『かもめ』の一節を演じるシーンの迫力が素晴らしかった。
ドラマチックな演出効果と相まって、彼女ならニーナ役を奪いかねない、と思わせる美しさ。木村のこのシーンに限らず、今回の『楽屋』は劇中劇部分にリアリティがあって見ごたえがある。

演出は文学座の稲葉賀恵。もともと面白さに定評のある戯曲に真正面から挑み、さらに演じる女優たちの個性を役に上手く投影し“素材を最大限に活かした”といった演出がうまくハマった。セットもあまり奇をてらわず、楽屋らしい雑多な小道具が配置されたステージは、“まっとうな楽屋”という作り。だが、おそらく舞台へと繋がる動線が橋掛かりのようになっており、全体を眺めると能舞台のようにも見える。

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