沖澤のどか、三浦文彰が彩る日本フィル定期 7月9日、10日開催
で登場とは、日本フィルにとってもオーケストラ好きにとっても、これは喜ばしい出来事だ。
覇気や勢いだけではどうにもならぬメンデルスゾーンの「スコットランド」交響曲や序曲は、奇をてらわない沖澤がここぞというステージで指揮してきた大切なレパートリーなのである。沖澤と世代交代の進む日本フィルの対話、ドイツ・ロマン派の息づかいをサントリーホールで満喫したいものである。
英ロイヤル・フィルのアーティスト・イン・レジデンスにも迎えられた人気ヴァイオリニスト三浦文彰が、満を持して弾くアルバン・ベルクの協奏曲も公演の主役を演じる。
ウィーンを知る三浦のベルク。際立つのは新ウィーン楽派ならではの精妙な響きか。オーストリア南部ケルンテン(カリンシア)地方の民謡も舞う予感。曲目解説に必ず出てくるバッハのコラールとの相関は?アルマ・マーラーと建築家グロピウスの娘マノンの魂は、さて。
世紀転換期の鬼才アルバン・ベルクが曲に織り込んだ、秘密のメッセージ、妖しい、狂おしい楽の音もサントリーホールを満たすことだろう。7月9日、10日が近づいてきた。
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文・奥田佳道