カメラマン:源賀津己
本当にあったことを2時間以上もしゃべり倒すオリジナル話芸=鶴瓶噺の原点は、ラジオ番組と学生時代の喫茶店での雑談であるという。では、笑福亭鶴瓶にとってテレビの存在とは? 昭和26年うまれで、2歳の時に民放テレビが開局した芸人は、こんなエピソードから教えてくれた。
「ラジオは若手の頃から好きでしたけど、テレビは疑っていた時期がありました。こっちの実力がないからですけど、しゃべり方までああせいこうせいと言う人がいて……。僕も若くて生意気でしたから〝やかましいわ!〟と(笑)。だから、自分で自分のテレビを作る努力をしたんです。テレビなんですけど、言うたらライブというか。いまみたいに観覧者を募集するとかじゃなしに、自分で人を集めて番組を作ろうと企画したこともあって。
そしたら、ごっついおっさんの声で〝おりゃー!〟と誰かが殴り込んできたんですよ。自分の番組で自分の企画だし、いかなしゃあないじゃないですか。〝なんやこらぁ!〟と声のするほうに向かっていったら、うちの師匠だったんですよ。〝え?〟ってなって〝すみません!〟と謝ったら〝よかったなぁ。お前がしたい番組ができて〟と言うてくれて。