2022年9月7日 12:30
スペインの大地と風を感じて愛と因縁に彩られた人間ドラマ
撮影:宮川舞子、サギサカユウマ
「血の婚礼」の稽古場に足を踏み入れると、ミュージシャンの奏でるギターとチェロ、パーカッションが響いていた。憂いを帯びた調べが、物語の舞台であるスペイン・アンダルシアの空気を運んでくるかのよう。
第一幕は、“花婿”(須賀健太)と花婿の母(安蘭けい)のやりとりで始まる。これからプロポーズをしようという花婿の明るい表情とは反対に、浮かない様子の母。ふたりのギャップ、あるいは温度差のようなものが、不穏な空気を漂わせる幕開けだ。
プロポーズは無事受け入れられるが、“花嫁”(早見あかり)は結婚を素直に喜べずにいる。そして花嫁は3年前にレオナルド(木村達成)と恋仲であったこと、その後レオナルドは花嫁のいとこ(南沢奈央)と結婚し、子どももいることが描かれる。一方、かつての恋人が結婚することを聞いたレオナルドは、苛立ちを露に。
そんな彼を見て妻も傷つく。
それぞれに複雑な思いを抱えつつ迎えた、結婚式の日。多くの人が集まり、にぎやかな宴が繰り広げられている最中に、レオナルドと花嫁が姿を消す。ふたりが逃げたと知った花婿は、一族の男たちと共にふたりを追うことに。
そして第二幕、花婿がふたりに追いついた。