アニバーサリーイヤーにラフマニノフの傑作を自分なりに奏でたい
大崎由貴
ソリストとして、さらに室内楽奏者としても活躍の幅を広げ、昨年からは東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校にて非常勤講師を務めるピアニストの大崎由貴。東京藝術大学を卒業後、彼女が研鑽の地として選んだのはザルツブルクのモーツァルテウム大学であった。
「大学を卒業したらヨーロッパで一から学び直したいという想いを持っていたタイミングで、偶然地元の広島でジャック・ルヴィエ先生のマスタークラスを受講させて頂く機会がありました。そこで先生が自分で課題だと感じながらもなかなか修正しきれずにいた部分を一瞬で見抜き、求めていた方向へ導いてくださったのです。またレッスンの中で先生が隣のピアノで弾いてくださる際の音楽が私の理想とぴったり合致していて…。ほとんど一瞬で心が決まり、マスタークラスの最終日には緊張しながら、“モーツァルテウムで先生のクラスに入りたいです”と伝えたことを今でも覚えています。その後無事入試に合格し、ザルツブルクへ留学が決まったときはとても嬉しかったですね」
指導者として後進を育成する中で、自らの演奏にも影響するところはやはり大きいのだろうか。
「レッスンで何かを伝える際、自分の中では感覚的にわかっていることも言葉にしてわかりやすいように話すことで、自分の中で様々なことが明確化されるので、自分の演奏にも大きな影響があります。