ファゴットの魅力を伝えたいー新天地で道を切り拓いた作曲家に自らを重ねて
長哲也
東京藝術大学をご卒業後、すぐに東京都交響楽団の首席ファゴット奏者に就任し、オーケストラ奏者として活躍中の長哲也。オーケストラに所属しながらリヨン国立高等音楽院の大学院に留学し研鑽を積んだ彼の学びと音楽とのかかわりについて尋ねた。
「プロのオーケストラ奏者になる事は、子供の頃の漠然とした憧れでした。先生をはじめ、周囲の方々、そして家族のサポートがあり、運良く夢を叶える事ができました。オーケストラ奏者として活動できている事は本当に嬉しく、やり甲斐があります」
夢を叶えたあとに海外への留学を決断したのはどのような背景があったのだろうか。
「もともと大学卒業後に留学を検討していたのですが、都響に入団することができ、一度計画は白紙になりました。オーケストラ奏者として余りにも足りないことが多く、まずはオーケストラ奏者として充分経験を積みたかったのです。その後、経験を重ねてできることが増えつつも、新たな課題も見えてきました。
そのような時期に、Carlo Colombo先生(リヨンオペラ首席ファゴット奏者、フランス国立リヨン高等音楽院教授)と出会い、彼の音色や音楽性、そして人柄に感銘を受け、留学を決意したのです」