“掃除機”役に挑戦の栗原類 心に刺さった大先輩の名優の言葉とは?
栗原が演じるのは、80代の父、50代、40代の引きこもりの長女と無職の長男を見つめる掃除機のデメ。「決して無機質な存在ではなく、感情もあってシニカルな視点も持っているけど、この一家に愛着も感じている」とのこと。「観ていくうちに“掃除機”であることの意味がわかる芝居になっていると思います。本谷さんも俳優陣も、ドイツで初演された時の映像や資料は見ずに、日本初演でどんな表現ができるか? いろんな実験を繰り返しながら作っています」。
松尾スズキ、ノゾエ征爾、西田征史、白井晃、根本宗子などここ数年、日本の演劇界の第一線で活躍する演出家の下で精力的に舞台に出演している。「数週間にわたって演出を受けて、それが身体に刻み込まれていく感じが自分に合っていると思います。純粋にライブの緊張感の中で表現するのが楽しいです」と語る。そして、舞台に立つ上で大切にしている、こんな思いを明かしてくれた。
「市村正親さんが2016年に『ミス・サイゴン』を卒業される際に受けたインタビューで『その日、見に来たお客さんに『市村、いいな』と思ってもらえないと明日の仕事がない。毎日がオーディション』『最初から大きな役をやるんじゃなく、少しずつ上がっていくのが自分にはちょうどいいペースだった』ということをおっしゃっていて、すごく刺さりました。