主人公の父親であるという“大きさ”も忘れずに演じたいですね」と話す。
そんなジェクト役へのオファーは、菊之助からの1本の電話から始まったとか。「『新しいことをやろうと思っているんですが、ご協力願えますか』と。僕はゲームのことはよく分かっていなかったのですが、菊之助さんがおっしゃるのなら、もう喜んで。即答で『やらせていただきます』とお返事しました」と彌十郎は語る。「スーパー歌舞伎」や「平成中村座」など、歌舞伎界の新しい潮目に多く立ち会ってきた彌十郎ならではの即断力だ。
「たまたま自分のいた環境がそうだっただけなんですが……」と断りつつ、「ただ、若い頃から先輩達が新しく挑戦する姿を間近で見てきたので、新しいものに対して否定はせず、肯定から入るようにはしているかな。それにやっぱり自分が楽しまないと、お客様にも楽しんでもらえないので、出ると決めたからにはとことんやる。
そうすれば、自然とお客様にも納得いただける舞台になると思っているんです」と笑顔を見せた。本作の稽古場でも、役者同士の活発なディスカッションが楽しいと言う彌十郎。
「『ファイナルファンタジーX』について、周りの人に教えてもらったり、動画で観たりして研究しました。