鶴屋南北の悪の魅力をたっぷりと! 幸四郎が『絵本合法衢』で初役
撮影:石阪大輔
4月8日(土)に初日を迎える、明治座創業百五十周年記念『壽祝桜四月大歌舞伎』。昼の部(11:00開演)は、『義経千本桜 鳥居前』と『大杯觴酒戦強者(おおさかづきしゅせんのつわもの)』、『お祭り』で、華やかな春のにぎわいにピッタリのラインナップ。一方の夜の部(16:00開演)は、『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』を通し狂言で上演する豪華版だ。今回、昼の『大杯』で内藤紀伊守を、夜の『合法衢』では左枝大学之助と太平次(2役)を、どちらも初役で勤める松本幸四郎に話を聞いた。
昼の部『大杯觴酒戦強者』(河竹黙阿弥作)では、幸四郎演じる内藤紀伊守が、花見の席で酒好きの足軽・原才助(中村芝翫)に、酒豪の井伊掃部頭直孝(中村梅玉)との飲み比べを命じる。酔った才助の話から、その正体は武田の旧臣・馬場三郎兵衛と知れるが、そのとき紀伊守は……。
先に行われた制作発表会で、「いつもの“黙阿弥の世話物”とはまた違い、役者のニンで見せるところが面白い」(梅玉)と語られていた本作。幸四郎も、「おおらかなお芝居で、物語とは別に、(役者の)芸の見せ合いで展開するところがあります。
紀伊守として、いかに凛として存在できるかを大切にしたいですね」