と即答した。ではもし、決めるのは他者である〝人間国宝〟に選ばれたとしたのなら?
「いやいやいや、なりたくないです。もし、それがきたとして……絶対こないよ。でも、もしきたとして、『もらいます』と言うのは僕じゃないですか。そんな返事をしたら、どれだけみんなに『なにを偉そうに!』と怒られるか。『お前、いままでなにしてきたと思ってるんだ?』って(笑)。偉そうで言えば、言葉もそういうところがあると思います。『“縁は努力”って名言ですね!』とか言われることがあるんですけど、たまたまある時にそう思って口にしただけですから。
だからもし、最近のたまたまを口にするのなら“順番に順番に”かなぁ。やらなきゃいけないことがたくさんある時に横に並べてしまうとどうしていいかわからなくなる。でも、縦に並べるとひとつのことに集中できる。そのやり方は昔からなんですけど、最近は“順番に順番に”と言葉にすることで、より楽になれている気がします」
順番に順番に。『妾馬』や『山名屋浦里』がかけられた笑福亭鶴瓶落語会で、今年の順番は『芝浜』がトリを飾る予定である。「自分で決めたい」男の心変わりがないのならば。
取材・文:唐澤和也
【公演情報】
笑福亭鶴瓶落語会
公演期間:10月20日(金)