見どころ満載!シーズン開幕へ向け新国立劇場でトークイベント
と話した。一方の《子どもと魔法》は、物や動物たちが動きしゃべるファンタジーな世界観そのものが、本当に起きていることのか、夢なのか。
言われて初めて気づいたのが、両作品に登場する「子ども」の年齢。アンジェリカが未婚の子を産んだのが7年前。《子どもと魔法》の主役である子どもの年齢も6~7歳という設定だ。「短く言うと“7歳ダブルビル”です」という沼尻の「分析」が大いにウケた。
沼尻が明かした修道女たちの衣裳に関わるエピソードも面白かった。立ち稽古では各自が役名のゼッケンをつけているのでわかりやすいのだけれど、同じ修道服を着て頭巾を被ると区別がつかず、指揮者としては歌のきっかけを与えるのに苦労するのだとか。
しかし粟國によれば、それこそが大切なポイントだそうで、個が曖昧な修道院という社会の中で、修道女一人ひとりの個性が少しずつ描かれ、それがやがて大きく展開してアンジェリカの絶望と自殺につながるのだという。なるほど!
後半には歌手たちが登場して楽曲紹介も。眼前で繰り広げられるこまやかな歌唱の能弁さに、本番へのわくわく感が一気に最高潮に達した。新国立劇場の『修道女アンジェリカ/子どもと魔法』は10月1日(日)から9日(月・祝)まで全4公演。新国立劇場オペラパレスで。
(宮本明)