くらし情報『天才マケラがオスロ・フィルと奏でたシベリウスの響き』

天才マケラがオスロ・フィルと奏でたシベリウスの響き

第2楽章のファゴットは神秘的な音色、そして第4楽章では金管が迫り来る。後半にはより規模の大きな交響曲第5番。内声のヴィオラやチェロも力強い。最後の和音の連続で終わるまで、重厚なシベリウスの音楽は大きな盛り上がりの中に観客を巻き込んでいった。

マケラの才能はまず、作品とオーケストラへの洞察力が並外れていることがあげられるだろう。一年前のパリ管の華やかな響きやラヴェルの「ボレロ」などにおけるソロ奏者の個性が際立つ演奏と比べて、オスロ・フィルの音色はより骨太で、北欧らしい直裁的な響きが魅力だが、そのオーケストラの最高の演奏に立ち会っている、という感覚は変わらない。マケラは作品の本質を見抜くのと同じ深さで、自分が指揮をするオーケストラの美質を見抜く力があるのだ。

そしてもうひとつの大きな美点は生命力にあふれた音の響きと、客席への届き方だ。
スケールが大きいフレージングと、思い切った棒から生まれるタイミングと音の勢いの見事さ。おそらく生まれ持った音楽性なのだろう。その素晴らしさは録音でも味わえるが、彼の音楽と一体になる幸せは同じ空間にいるからこそだ。

終演後の客席では熱い拍手が長く続いた。アンコールに演奏されたシベリウス「レンミンカイネンの帰郷」

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