決めなきゃいけない。「モラトリアムの終焉」は秒速でくる/誰に見せるでもない爪
第10回:モラトリアムの終焉
今回の読者投稿は大学院生の男性から。
「未来の自分が何をして働くか、誰といっしょにいるのか考えないようにしつつ、モラトリアムに甘えた今が楽しくてだらだらしてしまう」とのこと。
モラトリアム期のだらだらは、何らかの形で自分に返ってくる。
…と書くと、悪い意味に聞こえるかもしれないが、良い意味でもそう思っている。
映画「モテキ」で真木よう子の
「もっと自由にとか、もっと自分の思いのままにとか、そういうのは限られた人間にだけ許されてんの。お前は違うの。だから黙って働け、バカ」というセリフがあって、私はこのセリフが大好きだ。
つべこべ言わずに目の前のことをちゃんとやれ、と喝を入れられているような気がする。
特に努力もせず怠惰に過ごして、人のせいにしたり過去にしがみついたりする人に対する、喝。そして主人公はその喝や現実を受け入れ、苦悩を乗り越える場面に続く。
今回の院生の方は「考えないようにしつつ」とあったが、意外と考えている暇はなくて、学生時代は秒速で終わり、決めなきゃいけない時は来る。
モラトリアムを過ごしてきた人に対して、この喝はスカッとする。背中を押される。