誰よりも抱きしめ、一緒に眠った。無条件で傍にいてくれた犬にいま思うこと
その日たまたま連絡を取っていた友人から食事をしようと誘われ、人に会って気をもっと紛らわせて、悲しい気持ちをどこか遠くのところに追いやった方がいい気もしたけど、でもやっぱり誰かに会う気分にはなれなくて、断りの連絡を入れ、そして家に帰った。
無条件で一緒にいてくれた犬、
生まれてから一緒にいるはずの母
私の実家には今2匹のラブラドールがいて、その子のお父さんとお母さんはもう死んでしまっている。10歳の頃から飼いはじめたので、もう人生の半分以上を犬と過ごしていることになる。
毎日最初に「行ってきます」「ただいま」と話しかける相手が、4匹の犬だった。私が人生のうちで一番抱きしめた相手も犬だ。167センチくらいある私が座ると、犬は真正面にやってきて、抱きしめるとちょうど肩のあたりに犬の頭が乗る。暖かくて、毛並みがつるつるしていて、その時間がすごく好きだった。
一緒に寝た時間が一番多いのもたぶん犬だ。
20キロ近くあるのに、ひざや私の体の上にどうしても乗りたがる。大きいからだをわざわざ小さく丸めて器用に乗る。何を勘違いしているのか「重いからどいて」といっても、尻尾を振って絶対にどこうとしない。結局私が、重さに耐えるしかなかった。