2000年以上前アリストテレスが確立した人を動かす3つの要素
むしろそれを取り込んだうえで、「理性的な弁論術」とも呼ぶべきものを考えたのだそうです。
いくら好ましくないといったところで、現実の議論には「感情論」がたしかに存在するもの。ならばその現実を直視し、人の感情を分析して利用し、そのうえでどう論理的に説得するかを考える。これがアリストテレスの理性的弁論術だというわけです。
■説得を成り立たせる3つの要素
そしてアリストテレスは、弁論術による説得は次の3つの要素によって成り立つと述べているといいます。
(1)「話す人の人柄」
(2)「聞く人の気分」
(3)「話の内容の正しさ」
(3)が入っていることには納得できますが、「人柄」や「気分」が入ってくるのは意外な気もします。
しかし、たとえば「なんか、あの人のいうことはいつも聞いちゃうのよ」という場合は、まさに(1)「話す人の人柄」による説得。
また、「今日は社長の機嫌がよかったから、OKもらえたよ」というケースは、(2)「聞く人の気分」による説得。
そして「彼女の示したデータや意見には有無をいわせぬ説得力があった」は、(3)「話の内容の正しさ」による説得ということになります。
■2000年以上前も現代も同じ
つまり日常を振り返ってみると、現代も、2000年以上前にアリストテレスがいったこととあまり変わりがないということ。