最初のレートは1ドル=1円だった!池上彰が語るお金の歴史裏話
当時は日米ともに金本位制で、1円と1アメリカドルが交換できる金の量は、偶然にもほぼ同じ。1ドル=1円だったのです。当時は実際にこのレートで取引が始まりました。
やがて、戦争に次ぐ戦争の時代を経て日本経済は疲弊し、終戦後に米軍占領下で日米貿易が再開されたときに1ドル=360円と決められたのです。
しかし、じつはアメリカの調査団が調査した結果、1ドル=300円を基準に270円~330円の間で調整するのが妥当、という結論だったそう。アメリカは、意図的に円安にしたのです。
池上さんはその理由を、アメリカが日本の経済を早く復興させるために、あえて輸出に有利な円安設定にした、と説明します。
東西冷戦時代で社会主義諸国と対立していたアメリカが資本主義経済のモデルとしてそのよさを世界にアピールするために、あえてレートを日本経済にとって有利な設定にしたのだそうです。
■お金が実体のない存在へ
お金の価値は、みんながそれを「お金」だと思っている共同幻想によって保たれている、という池上さん。さらに、実体のない仮想通貨(バーチャル・マネー)に話を広げます。
仮想通貨の代表例「ビットコイン」は2008年ごろに登場したもので、中央銀行のような、信用を担保する機関をもたないのが最大の特徴。