ひとつの作品に3分間かけて見るべし?美術館との楽なつきあい方
しかし著者は、そういう見方をおすすめしていないといいます。
なぜなら厳密に「順路」に従って見ていくと、次第に疲れてきて、最後の方は「もういいや」ということになりがちだから。
そこでおすすめしているのが、最初に展覧会全体をさっと早歩きで見る方法。はじめから終わりまでを、先にひととおり大まかに見て回るわけです。
すると、「引っかかり」をおぼえる作品がいくつか出てくるもの。「いいな」と思ったり、なぜかわからないけどきになったり、素通りできないなにかを感じる作品が必ずあるということです。
そして、そのような「引っかかり」をおぼえた作品を中心に、あとでゆっくり見ればいいということ。
なお、もしも会場が複数の場所に分かれていたり、展覧会に規模が大きかったりした場合でもご心配なく。
ブロックごとに、同じ方法を繰り返していけばいいだけだそうです。
あるいは、展示室の真ん中に立ち、周囲の壁に掛けられている作品をざっと見渡すのもいい方法。
いいかげんなことのように思えるかもしれませんが、この「引っかかり」が意外とたしかな道しるべになるのだそうです。
なぜなら「無自覚的知覚」は、その人の主観にのっとったうえで、見るべき要素を直感的に汲み取っているものだから。