鉄道建設を視野に入れた上での同国との関係構築をいかに重視しているかが見て取れる。
マレーシアについても同様。日本政府は5月、マレーシアのナジブ首相を日本に招待。首脳会談の議題にはマレーシアとシンガポールとを結ぶ高速鉄道の計画も盛り込まれ、安倍首相は新幹線方式をトップセールス。ナジブ首相は共同声明で技術と信頼性を評価した。
そしてその成果は着実に表れ始めている。7月、住友商事と日立製作所、三菱重工業の3社は連合で、タイの首都バンコクの高架鉄道新路線の建設を受注した。受注金額は320億バーツ、約1160億円。
この金額は、日本勢がアジアで手がけるものとしては最大級だ。
この案件と関わるところで、日立製作所は昨年シンガポールのアジア地域統括会社内に、東南アジア向けの鉄道信号事業の専門組織を新設していた。このように鉄道建設の裾野は非常に大きく、今後も成長が期待できるのだ。
©TRIPPING! 既存のバンコク高架鉄道
豊富な資金をバックに食い込む中国勢
こうした安倍首相、日本勢の攻勢の対抗馬が中国だ。先述の安倍首相が独立記念日を祝うメッセージの中で触れた、インドネシアの首都ジャカルタとバンドン間を結ぶ高速鉄道計画も、中国と争っている最中。