化粧品向け酢酸セルロース真球微粒子の開発において2020年度「セルロース学会技術賞」受賞 ~サステナブルな素材で、メイクアップ化粧品に心地よい使用感を~
小林慧子(ヘルスケアSBU 事業推進室研究開発グループ研究員)
牧野純子(ヘルスケアSBU 事業推進室研究開発グループ研究員)
■研究の背景・概要
・化粧品配合マイクロプラスチック粒子による海洋汚染問題
ファンデーションなどの化粧品には、ナイロン粒子、アクリル粒子などのマイクロプラスチック粒子が使用されています。これらマイクロプラスチック粒子は化粧を落とす際に下水道に流れ、下水処理で捕捉されずにそのまま海に流れ海洋汚染につながります。このことから現在、中国ではマイクロプラスチック粒子を含有する化粧品の製造禁止、アメリカや欧州などではマイクロプラスチック粒子の使用規制の動きがあります。
・天然由来の生分解性酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA(R)」
このマイクロプラスチックによる海洋汚染問題の解決策となりうるのが、天然由来の生分解性酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA(R)」です。酢酸セルロースは、木材中に存在する「セルロース」と酢の主成分である「酢酸」を主原料とし、特に海水中で高い生分解性を有する、天然由来の環境にやさしい素材です。
海水中分解性の比較
これまで化粧品に使われてきたマイクロプラスチック微粒子は真球状で、肌での伸びが良いことが特徴でしたが、環境に配慮した代替素材を真球状にすることは技術的に大きな課題でした。