2022年4月1日 12:00
東京国立博物館所蔵の名品2件の修理を行うファンドレイジング事業 「踊る埴輪&見返り美人 修理プロジェクト」を4月1日より開始
今回の修理プロジェクトによって、引き続き展示で皆様にお見せできるように、そして未来の世代にこの貴重な文化財を引き継げるようにしたいです。あたたかいご支援を心よりお願いいたします。
◆「見返り美人図」 菱川師宣(ひしかわもろのぶ)筆 江戸時代・17世紀
目にも鮮やかな濃い紅色の綸子(りんず)地の振袖をまとった若い女性がふと振り返る一瞬を描いた、菱川師宣晩年の肉筆画。切手のデザインになったことでも有名です。「玉結び」というヘアスタイル、菊や桜の花で描かれた「花の丸」模様の振袖、人気役者の着こなしにちなんだ帯結び「吉弥(きちや)結び」など、当時の町中で流行した最新のファッションを描いていることもこの作品の魅力です。また、織り出された綸子の地模様まで詳細に描くリアリティは、きものに刺しゅうと金銀の箔で模様を施す縫箔師(ぬいはくし)の家に生まれた師宣ならではといえるでしょう。江戸時代の戯作者(げさくしゃ)山東京伝(さんとうきょうでん)(1761~1816)が、箱書きをしており、江戸時代から有名な作品だったようです。
「見返り美人図」 菱川師宣(ひしかわもろのぶ)筆 江戸時代・17世紀
●必要な修理
桜の花など絵具の部分には多くの剥離、剥落がみられる状態です。