2022年12月16日 11:00
高分子ウィア=フェラン構造の構築に世界で初めて成功
■研究の背景
ウィア=フェラン構造は、六角形2面と五角形12面を持つ十四面体と、五角形面を持つ十二面体の2種類のセルからなり、2つのセルの体積は等しくなっています。十四面体と十二面体のセルが3:1の割合で空間を充填するように配置されることにより、この構造が形成されます。この構造は、1993年にデニス・ウィア、ロバート・フェランによるシミュレーションにより発見され、空間充填のもっとも効率的な構造として100年以上も受け入れられてきたケルヴィン構造(切頂八面体)よりも境界面積が0.3%小さいことが分かりました。ウィア=フェラン構造はスポーツ競技場のモチーフになっているものもありますが、現実に直接観察されるものとしては洗剤の泡とパラジウム・鉛合金しか知られていません。
■研究の概要
研究チームは、重合誘起相分離を用いてネットワークポリマーを合成することにより、ウィア=フェラン構造を構築しました。このポリマーの合成には、多官能(四官能)チオールと(二官能)ヘキサメチレンジイソシアネートという2つの汎用化合物(モノマー)の重付加反応を利用しました。この合成法は、多官能モノマーを「ジョイント分子」