2022年12月16日 10:30
積水ハウス、文化勲章受章画家・絹谷 幸二の創意の源泉 特別展「不二法門」を12月16日より絹谷幸二 天空美術館で開催
と説かれた文殊菩薩が、山から下りてくる様子を描き表している。この『維摩経』の一節は、維摩居士と文殊菩薩の対話の核心、「維摩の沈黙、雷の如し」にて佳境を迎える。
悟りと世俗は別々の世界ではないと双眼による見方を説く「不二法門」の教え。絹谷藝術の真骨頂である。
黒谷光明寺 降臨 文殊菩薩
*本特別展は、文化庁による日本の美を国内外に発信する「日本博」に認証されました。
「日本博」ロゴ
◆主な作品紹介(初出品)
『天空仁王・喝 I II』
I:2020年、II:2021年 ミクストメディア 130号(1620×1940)2枚組
守護神である仁王が灼熱の天空を駆け走り、全世界を恐怖に陥れた疫病と対峙する様子が描かれる。口を結んだ吽形(うんぎょう)像は「Corona」を打ち砕き、口を開いた阿形(あぎょう)像はそれを喝破する。眼下には富士山を中心に、左側に大阪の街、右側には東京の街が見える。仁王は恐怖する人々のために救いの糸を垂らすのだが、助かった命と助からなかった命がある。
いつまでも変わらない日常や永遠の生命はなく、パンデミックの下では、生きることと死ぬことすら別々のものではないという不二法門の思想を、昨今のコロナ禍に投影した一点である。