2023年10月26日 15:00
色匂い立つ庭、心を描く・今知るべき現代アートの「和」 尾形純 絵画展「月冴ゆる庭」韮崎大村美術館にて12月2日より開催
15~17世紀の西洋の古典技法を研究する中で、「手板」と言って、ファンアイクやルーベンス、レンブラントなどの地塗りや描画のサンプルを作って学んだ。
「当時の巨匠は真っ白いキャンバスではなく、先に【有色の地塗り】を施していました。最初に塗った色彩に対して、色の吸収や反射を見て、色を活かし、作品を作りあげていく……元の色にどうやったって影響される。塗り重ねると更に表情が変わります」
例えば、銀色の地塗りに赤を入れることで現れるピンクと、元から塗るために作ったピンクでは、全くニュアンスは違う。
色に対する考え方や手法で、一番影響が濃いのはこの【地塗り】だと、尾形氏は言う。
塗った色のポテンシャル、色彩力が発揮されていくその原理を意識して形成していった結果、今のスタイルが出来た。
もう一つ、尾形作品のルーツには【修復家としての技術と感性】がある。
尾形氏は学生時代の恩師の紹介で修復の工房に入門し、その後、文化庁の在外研修でニューヨークに渡るという稀な経歴を持つ。
これらの経歴の中で磨いた技術も、【地塗り】の話と地続きである。
そして、修復家に必要とされるのは、「必要な色」「欲しい色」を的確に作ることだ。