脱炭素社会の実現へ向け大きく前進 多元素酸化物触媒の常温常圧合成に成功
高知工科大学(学長:蝶野 成臣)は、筑波大学と共同で多元素酸化物触媒を常温常圧下で化学合成する方法を開発しました。
【研究成果のポイント】
●高い活性と優れた耐久性を持つ多元素触媒は、実用化が期待されているが、触媒の作製に高温・高圧環境や特殊な装置が必要なことが課題であった。
●本研究では、常温常圧下で簡便に多元素酸化物触媒を化学合成する方法を開発。
●従来の製造コストを大幅に削減できるとともに、工業化を見据えた大量生産も可能に。
【概要説明】
世界的な脱炭素化の流れの中で、次世代エネルギーとして注目される水素を効率的に生成し、また、発電、製油、製鉄等の過程で発生する二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスを有用資源に転換あるいは無害化する上でも、高性能な触媒が求められています。多元素からなるナノ合金や酸化物触媒は、従来に比べて高い活性と優れた耐久性という触媒機能を持つため、実用化が期待されています。これまでに様々な合成法が提案されてきましたが、主に高温・高圧環境で行うハイドロサーマル法や、瞬間加熱炉を用いた複合化法が採用されてきました。このため、より安価で簡便な製造方法の開発が求められていました。