脱炭素社会の実現へ向け大きく前進 多元素酸化物触媒の常温常圧合成に成功
本研究では、多元素酸化物触媒を常温常圧下で化学合成する方法を開発しました。この手法は、金属塩、アルカリ溶液、酸化剤を混合するだけの非常に簡単な方法であり、容易に大量生産が可能です。高温・高圧条件や特殊装置を必要とせず、室温で簡単に化学合成が可能です。これは、12元素を含む酸化物触媒を作製し、水の電気分解における酸素発生電極としての優れた活性と高耐久性を実証することで、その有効性を確認しました。
さらに、この方法は33種類の元素に適用可能であることが判明し、多種多様な多元素酸化物の合成が可能となります。これにより、人工知能(機械学習)を活用した新規触媒の開発も期待されます。
この新しい手法は従来の製造コストを大幅に削減し、実用化に向けた大きな前進をもたらしました。これにより、多元素酸化物触媒はカーボンニュートラルの実現に貢献していくでしょう。
【研究代表者】
高知工科大学 理工学群
藤田 武志教授、伊藤 亮孝教授、Saikat Bolar助教
筑波大学 数理物質系
伊藤 良一准教授
【研究の背景】
これまでは、多元素合金や酸化物を作製する方法として、超臨界条件(高温・高圧)で行うハイドロサーマル法や、瞬間加熱炉やレーザー照射を用いて瞬時に複合化する方法が提案されていました。