「彼氏と金銭感覚が合わない…」長続きカップルになるために「作るべきルール」
2割増でバイト代出すって言われたから、行ってきた」
「ふーん」
「葵は? 遅かったね」
「同期と飲み会だよん。 超―いい店だったんだよ。写真送るね」
写真は、東京駅の駅舎がバックに映る、夜景が綺麗なテラス席。葵の隣には、ほっぺがくっつきそうなくらい近くに男性の同僚がいて、楽しそうにピース。
正人は大学院生。今年が就活の年だ。でも、葵と違って家庭に余裕がなく、仕送りなしの一人暮らし。だから、就活よりもバイトを優先させている。
すでに奨学金を合計400万円借りているのに。
葵は思う。正人にはなんとしてでも、葵みたいに給与水準の高い会社に入ってもらわないと。年収も家事もフィフティで依存しない結婚が夢。本音を言えば、将来、結婚したとして400万円を肩代わりしたくない。
「そんなふうに計画性ゼロじゃ、いい会社入れないよ」
「でも、バイトしないと今の生活が立ちゆかないしさ」
正人は無駄遣いするほうではない。どちらかといえば倹約家。バイトを休む余裕はないのだろう。
「就活中くらい、親に頼れないの?」
「無理だよ。葵みたいに学費も生活費も出してもらえる家の人にはわからないって。
住んでる世界が違うんさ」