自分自身の美しさに満足している人は、付き合う相手にはそれほど見た目の良さは求めないみたいですね。むしろ外見だけでもてはやされてきた美女は、周囲から望まれる“美女らしさ”を演じることに疲れて“自分らしさ”を丸ごと受け止め、癒してくれる男性に惹かれるようです。
そういえば、作家の綿谷りささんが去年発表した小説『亜美ちゃんは美人』(『かわいそうだね?』に収録)には、“誰もがうらやむような美人が、どう考えても幸せになれそうもない、とんでもない男と付き合う”というシチュエーションが登場します。
この美女・亜美ちゃんは容姿に恵まれているうえ、性格も良い最強美女なのですが、次から次に寄ってくるイケメンたちとなんとなくお付き合いした後、怪しげな仕事をしていて、信じられないぐらい失礼で、自己顕示欲の塊で、しかも「彼女を愛していない」最悪の男と婚約することに。
理由は、それまで受身の愛しか知らなかった彼女が「初めて本気で好きになった人」だったから。なんとなくわかるようなわからないような感じですが…追いかけられることに慣れすぎた美女は、自分をぞんざいに扱う人を必死で追いかけたくなってしまうものなのかもしれません。